カ ロ リ ー メ イ ト


「…」

鍵を開けたら閉まった。
笠井はしばらくドアの前で硬直し、それから改めてドアの鍵を開ける。おそるおそる中を覗けば、玄関にあるのは三上の靴だ。

「なんだ…ただいまー、先輩来るなら一言言って下さいよー」
「おぅお帰り」
「あっ、勝手に酒も開けてるし!」

玄関に迎え出た三上が手にした酒の缶を奪って部屋に入る。手荒いうがい、と三上がふざけて缶を取り返した。

「腹減った」
「は?俺食べてきちゃったよ」
「まじで?」
「自炊するより学校で食べてきた方が楽だし」
「どーりで冷蔵庫が空だと…」
「小姑ですかあんた」
「ゴミ箱もカロリーメイトの箱ばっかだし」
「違った、ストーカーだ」
「ちゃんと飯食ってんのか?」
「夜はね。だって朝も昼も時間ないんだよ」
「朝ギリギリまで寝てんのか?お前が?」
「昔はあんた起こすために起きてたんですー」
「…」
「いじらしい?」
「自分で言うな」

鞄を適当に放って、笠井はソファーに仰向けに寝そべった。
三上が足元に座ったので、笠井は少し下がって三上の腿に足を載せる。

「俺のも取ってきてよ」
「…これで言うか」
「じゃあキスして」
「俺はろくろっ首か」
「妖怪でも好きだよ」
「ハイハイ」

三上は笠井の足を叩きながら酒をあおった。
ジーパンの裾をぐっと上げられて三上の手が下から上へとなで上げる。笠井が思わず蹴り上げると三上は分かったように避けた。

「セクハラ」
「隅から隅まで触られといてよく言うな」
「隅から隅まで触るのは嫌がらせのつもりなの?」
「…」
「可愛くないとか思ってるでしょ」
「正解」
「正解者にご褒美は?」
「…」

ちらりと笠井を見て三上は視線をそらした。笠井が起きあがって片足を三上の足に絡めて逃がさない。

「お腹空いた?」
「…空いてはいるな」
「俺ねぇ、お腹と背中がくっついたって、人はふたり居ると思うんだ」
「…あ、別に、くっつくの腹と腹でいいけどな」

笠井が三上の手から缶を抜いて、そっとテーブルに置いた。膝に乗り上がるように体を進める。

「…たまに来ると笠井積極的なんだもんなァ」
「分かっててたまにしか来ない癖に」
「…」
「何か食べるならカロリーメイトがあるんだけどね」
「ンなもん食うならお前のがましだ」
「ましとか言うなら何もしない!」
「ごめんなさい!」
「嘘」

三上の呼吸のタイミングを奪って口付けた。

 


こないだの長いの書いてから崩れゆく笠井のアイデンティティ。
うちの三上は笠井を可愛くないと思わないと気が済まないのか。まぁ彼なりの愛情と言うことで…。
そしてさらりとお題を無視したのはいかがなものか。

050801

 

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