綿 の は み 出 た ぬ い ぐ る み
うちには時々おもちゃが運ばれてくる。
と言っても、工場で出た欠陥品で、その中で危険がないものが運ばれてくるのだ。
ちょっと欠けたブロックや、タイヤの回らない車なんかがそうだ。
そんなもんはちょちょっと、パパの魔法で直せてしまう。
だけど遠くの工場の人はパパが魔法使いだと言うことを知らず、時々こうして廃棄処分のつもりでやってくる。本当は損してるんだけど。「新しいおもちゃっスー!」
「やったー!」工業の人が帰った途端にパパが万歳をして叫ぶ。
パパの足元でギザが歓声を上げた。パパは子供を預かる仕事をしているが魔法使いだ。
だけど魔法使いをしているだけじゃ生活をしていけないので、昼間は忙しくて子どもの面倒を見れない親の代わりに色んな子どもを預かってる。
だけどそれだけじゃなくて、ここは、同時に孤児院でもあった。パパというのは正しい名前じゃない。
だってパパは女だ。魔女だからね。
パパパパ・カルテット、それがパパの本名だ。「シン、コレ持ってるっス!」
「あいよっ」
「行くぞーっ、」パシンッ
ラップ音まがいの音が小さくした。
パパが魔法を使ったときにこの音がする。
というのも、この音がするのはパパがまだ魔女として未熟だかららしい。
魔女のことはよく分からない。おもちゃが全部直ったのを見て、パパはにこりと笑う。
満足な一瞬なんだろう。「あれ、マリ、それ」
「あ、ううん、ちがうよ。これはアタシのだから」マリが持っていたのはぬいぐるみ。
足だか手だかが取れそうになっている。「直したげるっスよ」
「いいの、ママに作ってもらったからママに直してもらうから」
「・・・そうっスか」マリは預けられてる子の方だ。
ここの子どもじゃない。その日マリはいつものようにママに手を引かれて帰っていった。
うちへ帰ってぬいぐるみを直してもらうのだろう。
「・・・パパ?」
「あれ、まだ起きてたんスか?」
「・・・何やってんの?」
「・・・へへ」ひとつのぬいぐるみがパパの手の中にあった。
今日運ばれてきたおもちゃの中に混じってた、魔法をかけ忘れてたやつだろう。
それと一緒に、針と糸。「直せるかなって、思ったんだけど」
やっぱり駄目っスね、
パパが小さく呟くのと殆ど同時ぐらいに、パシンと魔法を使った音がする。
するとパパの手の中のぬいぐるみが、踊るように動いてあっという間にはみ出ていた綿も体の中に収まった。「わしは魔法がないと何も出来ないっス」
「・・・・・・」
「やっぱり、ママにはなれないっスね」
「・・・パパ」パパは見たことのない顔をした。
「・・・俺はパパが好きだよ」
「え・・・」
「ママよりずっと好きだ」魔法を使えるママなんてそうザラにいないじゃん、
そう言う前にパパに捕まった。「寝るっスよ」
「うん」おやすみ
パパがそう言うと途端に睡魔が襲ってきたけど、それはママにしか使えない魔法なんだ。
・・・パパ・・・以前サイトに置いてた小説のキャラです・・・。
別館のオリジの方にまだおいてありますが。
パパでー、とお題くれたので折角なのでやってみた。
す、すいませ・・・030325
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