夢 み た も の は


俺は何を夢みてたんだっけ、

ふとそう思ったらそこで立ち止まってしまった。





「笠井、どうした?」
「え・・・」
「最近調子悪いみたいだから何かあったのかと思って・・・俺に出来ることがあれば」
「あ、大丈夫です」

うわー・・・キャプテンに心配かけてしまった。
くそう、て言うか目聡すぎ。

「おいそこのスランプ」
「っ・・・三上先輩口悪い!」
「あ、悪ィ、スランプって才能のある奴が使う言葉だな」
「性格も悪いーっ!!」

「かーさいっ」
「あ、中西先輩・・・」
「ちょっと三上、後輩イジメは見苦しいよ」
「悪ィかスランプで」
「あら?スランプは才能のある人の言葉でしょ?」
「てめ・・・」
「・・・あれ、でもさっき三上先輩が怒られたのって絶好調すぎてですよね」
「あぁ・・・藤代が避けなかった所為」
「見事にクリーンヒットだったもんねぇ」

「あーっ何かタクがもててるー」
「もて・・・」
「三上先輩!さっきのスッゲー痛かったんスからね!」
「あれぐらい避けろよ!お前わざと当たったろ!」
「何のことですか」
「絞め殺す」

「まぁ、藤代は特殊だから気にしない方がいいよ」
「はい?」
「俺も三上も、笠井もたまには落ち込んだ方がいいからさ」
「・・・・・・」

武蔵森の人達は、みんなこうして察しがいい。
・・・と言ったら三上先輩にお前は甘やかされてるからだ、と言われたけど。
別にそうしてくれって頼んだ覚えがあるわけでもないし、性格も外見も生まれつき・・・ってあぁ、やめよう。人の厚意を無下にしてる。

そんなに分かりやすいかなぁ、
俺は人が体調が悪いとか見抜ける力を持ってない。何でみんなわかるんだろう。
別に、隠してるつもりはないけど、やっぱり人に伝わらない方がいい筈だ。

「笠井」
「あ、辰巳先輩」
「・・・ちゃんと前見えてるか?」
「あ、前は見えてます」
「?」

「あれーっ、珍しいふたり組」
「根岸」
「ちょっとかくまってよ、三上が何か知らないけどキレてんだ」
「根岸先輩も大変ですね」
「笠井も俺はサンドバッグじゃないと言ってくれ!」
「ついでに俺は盾じゃないぞ・・・」
「あ、でもコレ笠井も隠れられるんじゃない?」
「何で俺が隠れるんですか?」
「・・・三上絡みじゃなかった?」
「根岸」
「あっごめん!」
「え、いえ・・・・・・」

みんなは何を夢みてるんだろう。

今、みんな同じ道を歩いてると思うんだけど、誰も見えない。

夢の形が自分で作れなくなって、足踏みもできなくなってしまった。





「夢?」
「・・・はい」
「俺の夢、」

キャプテンは苦笑して少し考えた。
隣で三上先輩が呆れたような顔をする。

「三上先輩にも聞いてますよ!俺真面目に聞いてるんですから!」
「真面目にねー・・・その質問自体が真面目か?」
「真面目なんですっ」
「笠井の不調の原因はそれか?」
「・・・・・・」
「そういや俺今日海で鮫と闘う夢みたよ!」
「誠二・・・その夢じゃない・・・」

分かってるよ!と誠二がムキになって答える。
何処まで本気なのかわかりゃしない。

「だってさーっ、タク悩んでても俺に相談したりしないんだもんなっ」
「そりゃ藤代は頼りねえから」
「三上先輩よりは頼れますーっ!」
「落ち着けお前ら・・・」

・・・三上先輩はやっぱり誠二と同レベルだと思う。
自分の方がずっと上にいる気になってるけど、誠二だってもしかしたら俺よりもずっと大人だ。

「夢・・・なぁ」

はは、とキャプテンは優しく笑った。
毒気を抜かれたように三上先輩が溜息をついて、何故か買った気で居る藤代が笑う。

「取り敢えず今は、全国制覇のつもりだが?」
「キャプテーンッ!つもりなんて何弱っちいコト言ってるんですか!」
「お前いらねぇとこで日本人らしすぎんだよ」
「もー三上先輩はともかくとしてこれだけメンバー揃ってるんですから確実です!」
「コラ待てバカ代」

「笠井?」

誰かに呼ばれた気がしたけど目の前がちかちかしてよく分からなかった。

全 国 制 覇

俺だけの夢じゃない。
そうだ、確かに同じ道を歩いてる。

 

 


・・・わ・・・わかんね・・・
頑張って色々出した割に間宮を忘れている。
そう言えば大森は使ったことないな・・・
運動部ってわからんなぁ、うーん・・・;;

030327

 

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