お 風 呂


さんはさー、風呂でどこから洗う?」
「・・・それセクハラですか?」
「ち、違う!純粋に質問!」

いや純粋とも言い切れないのだが、サッカー部員は慌てて否定した。
部活時間が終了し、練習中の会話の延長らしい。
転がったボールを回収していたマネージャーはうっかりそこに飛び込んでしまったようだ。

「えー・・・髪から洗う派」
「ふーん、」
「じゃあ体はどこから?」
「・・・セクハラですか」
「違うって!」
「聞いてどうするんですか先輩!」
「煩いな!尾形はクラスに女子居るからそんなこと言えるんだよっ」
「スキンシップぐらいさせろっ」
「それはセクハラって言うんです」

止めに入った筈の尾形はあっさりと蚊帳の外に出され、頼りないと言わんばかりのの視線が尾形を責めた。
とはいえ、彼等の関係は只のクラスメイト。本来なら止める義理だってない。

「で、ドコから?」
「・・・・。・・・首、から だんだん下」
「首かー」
「・・・あ、耳の裏かな」

が手で耳の後ろをなぞった。
確認するようにその手を首に回して、うんと頷く。
ふっと我に返ると視線が集まっていた。

「・・・やっぱりセクハラだーっ!マネやめますよっ!?」
「ああっさんごめん!悪気はない!」
「下心の方がタチ悪いですッ!」
「み、も落ち着けって!お前も少しは悪いッ」
「何さっ尾形はそっちの味方すんの!?」
「味方って・・・」
さん尾形も男だ!」
「こういう何も知りませんって奴がむっつりなんだよ」
「わーっ先輩達何言ってるんですか!」

尾形のイメージダウンを図ってに言葉が次々と投げかけられた。
サッカー部の紅一点・マネージャーの競争率は高いとみた部員の儚い努力だ。

「あ、でも尾形の部屋ってホントにエロ本1冊ないよね」
「ちょ・・・お前探したのか?」
「テキストに従ってベッドの下を覗いたけど女の代わりに鳥が居た」
「だから部屋に上げるのやなんだよ・・・」

「────ちょっと待て」

ガラッと声色の変わった声が尾形を捕まえた。

「ちょっとあっちで話聞こうか」
「え、ちょ・・・あっ!ちょっと待って先輩っ、俺とは何もっ」
「ちょーーっとおいで尾形くーん」
「うわ・・・も笑ってないで何とか・・・あーーっ!!」








「連絡網・・・あれ・・・プリント何処やったかな」

ファイルを閉じて尾形は溜息を吐く。
さっき回ってきた連絡網を次に回そうと思ったのだが、電話番号の一覧が見付からない。
回す相手は、だと分かっている。

「・・・携帯で良いか、回ってきたのも携帯だし」

番号は知っていたが、実際に掛けたことはない。
ボタンを押す指が一瞬躊躇するが、電話も携帯も相手は変わらないことに気付く。
今日の文句も言ってやろう何て思いながら、尾形は意を決してボタンを押した。
長めの呼び出しで、ひょっとして寝ているんだろうかと少し焦る。

『はいっ』
「あっ、・・・あの、?」

思わず口走ってから馬鹿なことを言ったと思った。
携帯なんだから大概は持ち主が出るだろう。

『あれ、尾形何?珍しー』
「連絡網。電話番号分かんなかったから」
『あ、そう?・・・それ、連絡ってメモとかいる?』
「いや、別に。何で?」
『いやー今お風呂入ってて、携帯なって慌てて出てきたから何もなくてさ』
「えっ・・・」

一瞬思考が飛ぶ。
今、・・・

『で、連絡網何?』
「あ、あっ・・・あ、明日時間割変更で、体育潰れて英語だって」
『やった!アタシ次に回す人誰もいなかったよねぇ?』
「さ、さぁ」
『・・・何か可笑しくない?』
「な、何が」
『あんたが』
「・・・別に」
『そうー?んじゃアタシ寒いから風呂戻るわ』
「・・・ああ・・・」

ぱくん、と携帯を閉じて尾形はじっと俯いた。

「・・・寝よう」

そうしてまんまと英語を忘れるわけだが。





携帯を閉じたは急いで風呂に戻った。
肌がすっかり冷えていて、温かい湯が有り難い。

「・・・裸で尾形と会話してしまった」

電話って凄いなぁと感心しつつも、何となく恥ずかしい気がした。

 

 

 


ごめんなさい。
・・・としか言えない・・・難しいよコレ・・・!
因みに書いてる本人はすっごい楽しかったです!(え)

030329

 

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