足 の 指 の 間 の 、 内 出 血
(何だこれ)
足の爪を切っていた笠井の手がふと止まる。指と指の間が少し赤くなっている。
ぶつけたりしただろうかと考えてみるが、思い当たることはない。(まぁいいか)
痛くはないし、放っておけば消えるだろう。例え一生このままだろうが何ら支障はない。笠井は爪切りを再び動かし始めた。
が、ぴたりと手を止めた。爪切りを手放して指の間をじっと見る。(…変態)
数日後にはすっかり消えるだろう。体の他の部分に残されていた跡と一緒に。
ベッドでまどろんでいた笠井は感じた気配に目を覚ます。
一緒に布団に潜り込んでいる頭を見つけ、溜息を吐いてそれを撫でた。着ていたシャツがめくれているのは偶然なのか故意なのか。「オカエリナサイ」
「わぁイヤそー」
「まさかそんな帰ってきてくれて嬉しいです」
「ありがとよ嬉しくて涙が出そうだ」上体を起こして三上が口付けてきた。笠井がびくりとしたのを無視してそれは続く。
じっと触れたまま、心臓がどきどきと加速していくのを見計らったように舌が侵入してきた。覚えたばかりの蜜の味。ぬるりと舌同士が触れ合うのにぞくりとする。
笠井が耐えかねて三上をゆっくり押し返し、濡れた三上の唇を手で塞いで隠した。「…先輩、俺 具合悪いって部活休んでたんですけど」
「仮病じゃん」
「違います」
「腰痛いだけだろ?」
「…せ、誠二は」
「さぁ」
「…」初めて体を合わせたのはつい昨日だ。お互いもどかしいながらそれらしく夜を越した。
それまでにもふざけたように深い触れ合いはあるにはあったのだ、ただ所謂本番までいったのは初めてで。「ま、待って下さい先輩」
「やんない、触るだけ」
「…」
「やだった?昨日」
「…分かんないけど、痛かったです」
「ごめん」
「…」口を塞ぐ手の平に口付けられ、笠井は反射的に手を離す。
三上と真っ直ぐ目が合う。負けたようで反らしたくない、だけどこのまま耐えきる自信もなかった。「笠井」
「…あの」
「何?」
「何でつけるんですか」少し考えた後、三上はあぁと納得した様子で頷いた。
笠井のシャツを引っ張って、こういうの、と首筋をなぞる。その手つきに顔を反らすと笑われた。「何でだろうなァ」
「…」
「所有権の主張?」
「…俺は先輩のなんですか」
「どっちでもいい」
「…」少し考えて、その意味が分からないまままた三上のキスを受けた。
「あ」
もしかして先輩を俺のモノにしてもいいってことかなァ。
思いはしたけど笠井は口にはしなかった。
なんとなく050の続きっぽい?
050606
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