「・・・若いねぇ」
「何ジジィみたいなこと言ってんだ?」
「違う、根岸が子供なの」
「なるほど」

三上は中西の隣に立って窓の外を見た。
雪が積もったのがそんなに嬉しいのか、体育も中止になった積雪の中で根岸藤代を筆頭に何人かが騒いでいる。

「・・・笠井は探してもいないわよー」
「いるわけねぇだろあの寒がりが」
「何でこんなに寒いのに外で遊べるのかなー」
「つかこの教室アチィ」
「いーよねーここー、うちのクラス灯油尽きちゃってさー。私立なんだからもっといい暖房入れろっつの」
「来年からエアコンはいるんだろ?」
「おっせーんだよ、ふざけてるよねこの俺が3年間耐えたのに」
「高等部優先だったからなぁ」

ストーブの傍に立つ中西はそれに手をかざした。三上はここから離れる気はないらしく、ブレザーを脱いで傍の机に置く。こっちはこっちで異常な暑がりだ。
ドアが開いた音に中西がそっちを見た。入ってきたのは辰巳、開けっ放しのドアを閉めろと手で示す。呆れた表情でドアを閉めて辰巳が近づいてきた。

「お前らなんで他のクラスのストーブに集まるんだ」
「うちのクラス寒いんだもん」
「・・・・。・・・中西 手出して」
「手?」

はい、と何も考えずに中西は手を向けた。それに辰巳が手を載せる。

「っ!!」

中西が素早く手を引いた。小さな雪の塊が床に落ちて砕ける。

「・・・つめた!」
「雪だしな」
「冷た〜〜何すんの!」
「俺で拭くなッ」

三上が中西の手を払いのけて雪を拾う。中西が慌てて反対側に逃げ、それを辰巳が捕まえ両手をぎゅっと握った。

「冷たい!」
「さっき藤代に捕まってたから」
「冷たいんですけど!」
「俺も」
「つーか俺的にその構図あんま見たくねぇんだけど」

両手をつないで向き合って。
辰巳が離そうとすると今度は中西が離さない。助けを求める辰巳の視線も三上は笑って突き放す。

「お前が悪い」
「どうしよう、離すのもったいないけど体温吸収されてる!」
「知るかよ」

 

 


寒がりの中西さん。

 

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