バ ッ テ リ ー


「疲れた…」
「…だからって人の部屋でくつろぐのはやめてくれ」
「充電v」
「……〜〜〜〜」

背中にピトリと貼り付かれ、身動きを塞がれた辰巳は溜息を吐いた。
それもいつものことなので辰巳は気にしない。気にはしないが嫌味のひとつも言ってやりたくなる。
辰巳の場合はそれが解決にはつながらないからしないだけだ。無駄にエネルギーを消費するだけだろう。

「…疲れたって、お前家に帰ってたんだろ?」
「うん。でも何か、俺はこっちの方が落ち着くな」
「…そうか。それで予定より早く帰ってきたのか?」
「ううん、姉さんが甲子園見に行く!って家中巻き込んでたから避難」
「三上は見に行ってるらしいぞ」
「そうなの?」
「友達が出てるらしくて。応援席に潜り込ませてもらうって言ってたから」
「ふーん」
「…」

重い。
ズシリと背中に感じる中西の体重。

「…何でバッテリーって言うのかな?」
「え?」
「ピッチャーとキャッチャー」
「あぁ…」
「充電しあってるのかな」
「…中西…」
「うー…ごめんちょっと寝る。背中借りるね」
「……」

既にまどろんでいた中西は少し身動きして、しばらくすると寝息らしいものが聞こえた。
辰巳は少し困って、溜息を吐く。

「お前みたいなピッチャー、俺はごめんだけどな」

緩む口元を押さえながら。

 

「おかえり」

 

 


なんとなく。

050328

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