し だ れ 桜


「変な桜」

「・・・しだれ桜」
「え?」
「しだれ桜っつー桜があるの」
「あ、そうなんですか」

途端に興味が湧いた様で、笠井は桜の方に近寄った。三上が腕時計を見て溜息を吐く。
重い枝を上げておくのは疲れたとでも言いたげに、満開に咲いた花を添えて枝が山なりに反っている。桜を見下ろす機会なんて今までなかったように思うので、笠井は少し微笑んだ。

「そんな珍しいもんじゃねーだろ」
「そうですかぁ?俺初めて見ましたけど」
「そうかぁ?どっかの女子寮に・・・あ」
「どうしたんです?続けて下さい」
「いいえ何でも」

少し風が吹いて、花の真横に立っていた笠井の上着に花びらが何枚か貼りついた。三上が手を伸ばして一枚ずつ剥がしていく。
風が吹きやんでもなお、枝の先から花びらが零れた。

「・・・滝みたい」

笠井が呟いて、三上がはっとして顔を上げる。

「お前」
「え、あっクサいですかっ」
「・・・結構な」
「でも三上先輩に言われたくないですよ」
「お前なぁ・・・ところで女王様、電車乗り過ごしたの分かる?」
「あ」
「行くぞバカ」
「バカって言う方がバカなんですー」
「それ言う奴がバカなんですー。お前それ俺が幼稚園のときのレベルだぞ」

滝みたい、なんて
自分以外の口から聞くとは思わなかった。

「・・・何にやけてんですかー」
「別に?」






生まれた場所も時間も違うあなたが今隣を歩いているのは誰の仕業か知らないけれどただただしだれ桜の様に手を差し伸べてくれるあの人との関係が桜の様に散ることがなければと思うのはただのわがままなんだろうかだけどもう、・・・・・・

 

 


しだれ桜綺麗でした。
こいつら何処行くんだろう・・・

030418

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