読 書


「・・・毎度のことだけどお前スゲェな」
「流石俺の旦那様でしょ」
「お前の旦那になった覚えはないな。俺は可愛い嫁を貰うんだ」
「充分可愛いじゃないのさ」
「はいはいノロケはいらねェよ」

玄関で辰巳を迎えた三上は溜息を吐く。
たまたま遭遇した辰巳は図書館から帰ってきたばかりのようだ。提げた鞄が重そうに見える。

「あ、先輩」
「・・・笠井も一緒だったのか?」
「競争したんですよ、図書館まで。先輩あとで洗濯物持っていきますからねv」
「・・・・・・」

三上は笠井を見てにやりと笑った。
自分が過去にも持ちかけられた条件だ。因みに負け。
中西が辰巳の手元を見て溜息を吐く。

「しかしまぁまた借りたねー、あんたこれ持って走るか」
「返すとき行くか?」
「やだよ、何でわざわざ遠い方」
「・・・お前ら遠い方行ってたのか?」
「だって近い方の図書館まで走っていくとか絶対誰かに会うじゃないですか。恥ずかしい」
「・・・三上、笠井男と手つないで走ってたぞ」
「あッ先輩余計なことッ・・・」

三上が笠井を見た瞬間に笠井は外に逃げ出した。
舌打ちをするが追わない。どうせ帰ってくるしかないのだ。

「・・・お前何借りてきた?何か面白いのねェの」
「俺無差別だから」
「そういうとこお前と中西似てるよなー」
「あ、そうー?似たもの夫婦って?」
「言ってない」

辰巳が淡々と答えるのを中西が笑顔で叩く。

「スゲェ読書量。1週間で重いの5冊以上読むなよ。それでテスト上位行けるんだから信じらんねー」
「いや、下がった」
「・・・・」
「10番ぐらい」
「ざけんなお前」
「中学上がって勉強強いる人が居なくなったらあっという間にな」
「何だよそれ・・・読み過ぎだろ」
「足りてない」

言葉の代わりに中西が第二打を送る。
辰巳が黙って中西を引き離した。三上が呆れる。

「辰巳が一番変態だと俺は今確信した」
「何でだよ」
「だって要するに人間小なり活字だろ」
「そうよ、俺という人が居ながら」
「お前はともかく」

文句のあるらしい中西の口を手で塞ぐ。
段々辰巳が強くなっている。成長を目の当たりにしながら三上は戸惑った。予想外だ。

「・・・一番好きな本ってのがないんだ」
「・・・そんだけ読んで?」
「だから読むのかもな」
「ふぅん・・・」

蔑ろにされている中西が遂に諦めて辰巳を振り払った。
つまらなさそうに、だけど場を去る気はないらしく壁により掛かって二人を見る。

「三上は?」
「俺?」
「好きな本とか」
「あー・・・別に、そんなもん特にねぇけど・・・あ、でも」
「でも?」
「何だろあれ・・・タイトル覚えてねェけど、小学校の国語の教科書に載ってた奴。多分あれが初めて『感動』ってした話」
「赤い実はじけた?」
「中西は黙ってろ」
「どんな話だ?」
「ライオンの話」
「サーカスのライオン?」
「・・・知ってる?」
「ああ、あれは結構好きだな」
「俺覚えてる奴初めて会ったし」
「・・・・」

変態め。
辰巳を毒突いて中西は笠井を追いかけた。

 

 


辰巳さんは頭パンクするほど本読んで欲しい。
ところでこれ三上お題だと言うことを忘れてます。
てか途中で何書きたかったのか忘れたよ・・・サーカスのライオンで何書こうとしたんだっけ・・・
因みに文百の洗濯物日和の続き。

040430

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