歩 く 1 8 禁


「…ハァ?」
「…なんだよ」
「いや俺聞き間違えたっぽい、もっかい言って?」
「…だから、ガッコのコーチすることになった」
「……え、お前何かいかがわしげ〜な仕事してると思ってたらそんなことまで?何?桃色学園とかそんな?」
「近藤…あまりにもな反応に哀れみさえ覚える俺はどうしたらいいんだ」

三上は溜息を吐いて酒をあおる。じゃあ何だよ、近藤が疑わしげに顔をしかめた。
武蔵森中等部・数年前の3年3組の同窓会。幹事は三上の隣の近藤だ。

「いいか、お前教免取ったんだからいつまでもモデルなんかやってないで真っ当な職に就け!」
「だから就くんだって!」
「何々〜、何の話? 三上久しぶりだ〜、相変わらずフリーター?」
「どいつもこいつも…フリーターはてめぇだろうが大崎」
「俺は夢追いフリーターだ」
「威張るな」

近寄ってきた久しぶりに会うクラスメイトは酔っ払っているようだ。
やや遅れてきた三上より相当出来上がっているらしく、近藤が適当に追い払う。

「コーチって何だよ」
「だから、サッカー部のコーチ。藤代が話持ってきた」
「サッカー部? …歩く18禁のテメェが?」
「懐かしいあだ名は止めろ」
「サッカー部って何処の〜」
「そりゃ武蔵森しかねぇだろ」
「………まぁ飲め」
「飲んでる」
「俺はな、必死こいて勉強してどうにか今の職に就いてるわけだ」
「しょっちゅううちに愚痴りに来ながらな」
「お前はその間カメラに向かってポーズとって女の子から贈り物を貰ったりしてたわけだ」
「変な言い方するな」
「よって俺はお前の生き方に納得いかねぇ!!」
「…そりゃ俺だって思うけどよ」

ごにょごにょと言葉を濁しながら三上は酒をちびちびと口にする。きゅーっとグラスを空にして、近藤は三上を睨んだ。

「…いっぺんサッカーから逃げといていい度胸だなテメー」
「それが問題でよォ、今の監督知ってるか?俺の元チームメイト」
「お前すぐチームやめたじゃねーか」
「そうだけどよ。まぁ向こうは殆ど忘れてたけどな」
「どうも好きになれねー奴でよ〜。迷ったけどな、でもやっぱ サッカーは捨てらんなかった」
「…コーチって、収入どうなんだよ」
「…減るんだな〜これが…」
「笠井は?あいつはまだ学生だろ、途中で休学してたんだから」
「…前にバイトしてたとこに」
「サイテー」
「分かってるっつの…」

三上のグラスに酒を注いで、近藤は更に追い詰めてやろうと席を詰める。
しかし三上はグラスを握ったまま俯いてしまった。近藤は溜息を吐く。

「羨ましい限りだなお前は」
「…」
「あの歩く18禁が中学でサッカーのコーチねぇ…」
「だからそのあだ名やめろっつーの…」

 

 

 

「コーチはさ〜、いっぺんチーム入ってたんだろ?なんでやめたの?」
「…そりゃガキには難しい話だからテメェらがでっかくなってから酒でも飲みつつ教えてやろう」
「あっ分かった、何か悪いことしたんだろ!」
「セクハラだセクハラ!」
「テメェらな…!外周行ってこい!」
「職権濫用っスよ!」
「セクハラ〜」
「セクハラだ〜〜」
「…クソガキ…」

周囲でからかってはしゃぎまわる部員に三上は頭を抱える。
あ〜なんで俺この仕事請けたのかな〜なんて考えながら溜息を吐いて。

「……ま、悪いことはしたっちゃしたんだけどな」
「セクハラだ!」
「あれだろ?三上コーチのあだ名『歩く18禁』だったんだろ?」
「何で知ってんだテメェ!!」
「せくはら〜〜!」
「違う!世間に顔向け出来ねーことはしてねぇよ…いやしたのか…」
「何したんだよコーチ〜」
「セクハラだろ〜」
「しつこいなお前ら…。…試合すっぽかしたんだよ」
「え、何で」
「…母親がぶっ倒れたから」
「……そーなの?」
「大したことなかったけど。連絡受けて、試合なんか忘れてすっ飛んで帰って、クビって言われたから自分でやめた」
「……」
「ま、どっちにしろチームが肌に合わなかったんだけどな。6年も渋沢とやってりゃ…」
「…なんか、コーチも大変っスね」
「…まぁいーんじゃねーの?お陰でお前らも俺様に教えてもらえてるんだからよ」
「えっらそー」
「…お前らむかつく」
「コーチのおかーさんどうだったの?」
「…ピンピンしてる」
「そっか」
「…おっし!休憩終わりー!宮田はパスとシュートとどっちが気分?」
「シュート!」
「よっしゃパス練な、ふたり一組で整列ー」
「コーチむかつく…!」

 

 


調子に乗って三上コーチ。
こんなお題でネタ出ねーよ誰だよこんなの作った奴(…

050316

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