01:デート?


「ちょっとそこのお嬢さん、俺と一緒にデートしない?」
「・・・・・・」

にっこり。
予想外の反撃に、思わず伸びた三上の手はすかさず振り払われた。

「・・・そんな怒んなよー」
「怒る!」
「そういうなって。可愛いよーお嬢さん」
「・・・・・・」

何で目が覚めたら髪が伸びてるんですか。そりゃ迂闊に寝た俺も悪いけど。
起き抜けに見たのはさらりと髪の伸びた影だった。じっと凝視してみればそれは自分の顔をしており、もう少し見ればそれは鏡で。

「三上・・・何の真似だ・・・」
「いや、この間笠井が使ってたヅラお前も似合うんじゃねーかなと思って」
「・・・・・・(笠井・・・?)」
「どうせだからそのままデートいかねェ?」
「やっ・・・やだよ!」
「映画なんか見たいのあるって言ってたじゃーん、今から時間あっかな」
「やだっつってんだろ!」
「かわいーって一子ちゃんv」
「ざけんな!」

真田が投げてきた枕を投げて三上はベッドの下から更に何か引っぱり出してくる。
可愛らしいピンクのそれにいい予感はしない。

「どんなのがお好み?ちょっと派手目に露出系ー質素に綺麗目にーインパクトな個性派ー」
「どうでもない!」
「俺チョイスで?オッケー」
「ざけんなっ」

繰り出された蹴りも回避し三上は決定らしい服を掴んで真田をベッドに押し倒す。

「ちょ、マジやめろって」
「自分で脱ぐ?俺が脱がす?」
「・・・・・・」
「・・・何?」

睨み付ける目が弱くなり三上は少し手を緩めた。
ふいと顔を逸らした真田の小さな声。

「女がいいんだったら俺なんか捨てちゃえよ」
「・・・・・・一馬クン」

ぎゅっと三上に抱きしめられて真田は身をすくめた。 しばらく体を堅くしていると、三上の体が震えていた。くつくつと聞こえるのは、・・・笑い声。

「ちょっ・・・何笑ってんだよ!俺しんけ」

ん、が飲み込まれた。
降ってきたキスは深く。

「っ・・・」
「はは、ごめん、でもマジで?」
「・・・・・・」
「ごめんな。別に女が言い訳じゃねェよ、好きだっつってんだろ。俺がどんな思いでお前落としたと思ってんだよ」
「・・・・・・」
「悪ィ、先に言やよかったな。今日レディスデーなの知ってる?」
「・・・は?」
「安くなるからよ、奢ってやろーと思って」
「・・・・・・」
「但し真田の演技力にかかってんだけどよー」
「・・・・・・」
「デートしない?」
「・・・・・・」

中学生の小遣いは多くない。

だけど真田は忘れている。
レディスデーだろうがレイトショーだろうが中学生は値段は変わらないことを。

 

 


因みに中笠なんだよ(?)。

040716

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