03:意地
「・・・・・・」
『忘れてたとか言わねェよな?』
「・・・・・・わ」忘れてた。
『────もしもし』
「・・・・・・お、怒ってる?」
『別に』
(怒ってないけど拗ねてる・・・)さてどうしたものか。
黙り込んでしまう三上に、真田の方も困って口を閉じる。電話の向こうの三上の顔は容易に想像出来た。「・・・おめでと」
『どうも』
「・・・・」誕生日ぐらいを気にする男ではないと思うのに。
何だか妙に子どもっぽい気がして、真田は携帯を少し離して笑う。
普段家では電話を使うが、三上と話すときは何となく憚って携帯を使っていた。時間が少し気になる。「・・・あの、さ」
何だか今更フォローどころかドツボだが言わないよりかはましかもしれない。
何か欲しいものある?
返事はしばらくない。「・・・・・・」
『───かずま』
「・・・え?」
『さなだかずま』
「・・・が?」
『ちょうだい』一瞬砂嵐が走った。
『今日じゃなくても良いし。俺日曜暇なんだけど』
「あ・・・」
『あ?』
「・・・日曜は英士の誕生日だ」
『・・・・』
「あっ」真田は携帯を下ろしてディスプレイを見る。
・・・切られた。「・・・ガキ!」
別に一緒に祝うとは言ってない、思い出したことを思わず口にしただけだ。
机の上に携帯を残してベッドに潜り込む。
それからすぐぐらいにメールが来たが、それを無視して布団を被った。三上とは限らない。「見ない見ない見ない」
何が誕生日だ。
再び着信音が鳴り響き、真田はベッドを降りて電源を切る。「誰が祝ってやるか」
一馬の方が意地っ張りだと思うので。
三上の誕生日ロクに祝えねェ040122
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