07:バカップルって何


「こんちはー」
「あら、三上くんね」
「覚えてもらえてるんスね」
「そりゃあ強烈だったもの」
「何が?」
「サッカーよ」
「真田ね」

三上が笑うので西園寺も笑い返した。扱いづらい子だ。素直にそう思う。

「今日は何しに来たの?」
「や、アレしかないっしょ」

グランドに狙いを見つけ、三上は息を吸い込む。

「真田ー!」

グランドで噂の彼はうろたえた。三上が笑う声がする。

「…捕まえちゃったのね」
「捕まえちゃったの」

 

 

 

「何でお前がいんの」
「迎え」

臆面もなく三上が言って若菜は露骨に舌打ちをした。三上はそんなことは気にしない。久しぶり、と郭に挨拶をする。

「…はっ、彼氏面かよ」
「彼氏だし」
「……」
「最近物騒だろ」
「へっ…残念だったな、一馬は俺らと帰」
「朝今日は迎えがあるからって言ってたよね」
「……」

郭の突っ込みに若菜は硬直し、それから何も言わずに立ち去っていく。ごめんね過保護で。郭が言うのを笑った。

「み、三上っ」
「よう、着替えんの早いな」
「いや、だって…」
「別に少しぐらい待ってもよかったのに」
「でもお前門限あるだろ」
「あ?いいよそんなもん。どうにでもなる」
「よくねーよっ。お、俺のせいで…」
「気にすんなよ。お前に会いたかっただけだし」
「〜〜〜…」
「焦って忘れ物とかしてねぇ?」
「ばっ、馬鹿にすんな!」
「はいはい。帰る?」
「うん。あ、じゃーな英士」
「うん…」

飛んできたハートを払い落として郭はどうにか手を振った。ふたりが去っても甘い空気は残る。

「…あれ…ほんとに真田かぁ?」
「あんな気ィ抜けた顔初めて見た…」

ぽかんとする選抜一同のことなど当人達は知る由もない。

 

 

 

「あ、あの、三上…」
「誰も見てねぇよ」
「…」

そういう道を選んでいるから確かに人通りはない。それでも繋いだ手に緊張する。
俺は今日1日暇だったというよくわからない理屈のせいで荷物は三上が持っている。すっきりとしたデザインのジャケットには明らかに不釣り合いで、真田は申し訳なくてならない。
不安げに三上を見た一瞬目が合って、どきんと油断した隙にキスをされた。反射的に体を引いて逃げ出すが、手がしっかり捕まっている。

「…三上!」
「会うの久しぶりじゃねーか」
「…それが、」
「浮かれたっていいだろ?」
「ばかみかみ」

こっちは浮かれる余裕もない。しばらく睨みつけるが、そのうち折れて笑ってしまう。

「────お前んち行っていい?」
「え、でも時間は?」
「いい。今お前に触りたい」
「ッ…そ、それは…」
「ダメ?」
「……〜〜〜!」

すがるようなわんこの目。何度これにほだされたっけ?

「…だ、だめ!」
「何だよ減るもんじゃなし」
「やだ」
「…じゃあいい。でもその代わり」
「!」

真田からキスして?真っ赤になる恋人を笑った。

 

 


書かないからバカップルがよくわからん。
三笠だと「え?荷物も持ってくれないんですか?(冷笑)」になるよ。

060209

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