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※笠井がナチュラルに女の子なので苦手な方はアイシールド並みの速度でブラウザバックプリーズ。cf.012:水玉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竹巳」
「あ…み、三上先輩」

迫られている。這うように顔を寄せてこられ、座り込んだ笠井には逃げ道がない。頬を撫でられて肩がはねる。その手が布越しに胸に触れた。小さいのは嫌いだろうかなんて思いもしたが、柔らかく押される感覚に何も考えられなくなる。恥ずかしくて三上を見れない。それから手は膝に落ちた。太股を撫でてスカートの下へ向かう手を見て、

「……あっ!今日はッ」

顔を上げた笠井は教師と目が合う。一瞬にして今が授業中だと理解し、さあっと血の気が引いていった。

「今日は?」
「……き、今日は…ちょっと睡眠不足で?」
「じゃあ笠井、黒板に問題2から6」
「……」

最悪だ。数学も夢もそして今日も。

 

笠井への個人授業のようになってしまった数学も終わり、笠井はチョークで汚れた手をトイレで洗う。溜息を吐いて鏡を見ると疲れた顔をしていた。これクマじゃないの、最悪。

(なんつー夢…どさくさ紛れに名前で呼ばせちゃったし…)
「竹巳っ」
「わっ!」

ばっとスカートをめくられて、慌てて押さえる。振り返って友人を睨むが涼しい顔。元はといえば、あんな夢を見た原因はきっと彼女にあるのだ。

「感心感心。あたしがプレゼントしたのちゃんとはいてるじゃん」
「…ていうか、わたしのタンスから他の下着全部持っていったのあんたでしょ…」
「だってそうでもしないとはかないじゃん。今回はっきりわかった、あんたのパンツはださい」
「見えないからいいんだよ!」
「見せる相手がいる奴が何を言うッ」
「いたっ」

肩を強く叩かれる。三上と付き合い始めたことは幼なじみの藤代にも言わなかったが、彼女にだけは見破られた。相談したりもしていたので言わざるを得ないと言うところもある。

「今日デートなんだろ?」
「……」
「デートなんだろ?」
「な…なんで知ってんの…?」
「まつげに気合いが入ってる」
「……」
「相手はあの三上先輩よ?あ・の!三上先輩よ?歴代彼女は軒並み美人の三上先輩よ?」
「へこむからやめて」
「なんでその三上先輩が竹巳みたいな十人並みの子とつき合うのか、ってなったらもう体しかないじゃん」
「みっ…三上先輩はそんな人じゃないよ!」
「竹巳…あんたほんとに1番目?2番目とか3番目とかじゃない?」
「違うよ!」

 

*

 

多分。

時間が経つにつれて不安になり、待ち合わせの場所に立つ笠井は落ち着かない。サッカー部のマネージャーをしている笠井は、本人はからかわれているだけだと思っているがアイドル化している。そのため周囲を恐れる三上と隠れて付き合っているが、笠井は知らないところだ。 今日は少し風が強い。笠井はスカートを押さえる。
────ちらっと見せりゃ襲ってくるから、あとはあっちのせいにしちゃいなさい、大丈夫あんたの今日のラッキーカラーだから、と友人のアドバイスを思い出してしまう。できるはずがない。

(……先輩そろそろ来るかな)

10分遅れると言っていたからそろそろだ。
今正にそばまで来ていた三上が笠井に声をかけようとした一瞬、一陣の強い風がスカートを舞い上げる。慌ててスカートを押さえる笠井をからかうように他の方向からも風は吹きつけた。…笠井が気づかないうち、に三上は少し離れて姿を隠す。すぐに会える状態じゃない。

(…赤…?)

誘われてるんだろうか。おまけに紐じゃなかったか。はっきりと見えたわけではないがそんな気がする。…考えていてもしょうがない。笠井も寒そうなので深呼吸をして出ていく。

「笠井、待たせた」
「あ、こんにちは。…どうかしました?」
「…や、何でも」

デートと言っても何をする時間も特にない。隠れてつき合っているため、学校から離れないとふたりにはなれないのだ。今日も話をするだけのつもりだろう。

「…お前さ、」
「はい?」

隣を歩く笠井を見ながら、三上は聞いてしまう。他の話をしようにも、そのスカートの下が気になる。

「お前何で赤?」
「え?……えっ!?」
「あ、ごめんさっき見えた」

下着よりも顔を赤くさせて笠井は三上から数歩引く。スカートを押さえたその後ろを風がさらっていって、思わず惜しいと言いかけた。

「あ、あの、これは……」
「……」

真っ赤どころか涙目になって見上げてこられ、この顔には耐性がないので弱い。三上は財布の中身を思い出す。

「…ラブホ行くか、ラブホ」
「何でぇ!?」

最悪だ!三上に手を捕まれて引っ張られ、だけど笠井に振り払う勇気はない。無理です無理無理無理!笠井が言い続けると流石に三上も悪い気がしたのか、足を止めて笠井を見る。…油断していたらものすごい破壊力で、このまま本当にホテルまで引っ張って行こうかと思ってしまう。

「そ…それは、もっと…」
「…早い?」
「こ、心の準備が…」
「……今日はもう、帰るか」

ここまできて我慢できるほどできた人間ではないので、一緒にいて何もしない自信はない。しかし笠井を見ると、困惑した表情を向けられる。

「…でも、一緒にいたいです…」
「……」

手強いのはわかってたのに、なんでオチたんだろう。三上は笠井の腕を引き、キスをするように顔を寄せる。笠井が露骨に緊張した。首まで赤くなる。

「…こーやって、我慢できなくなるから言ってんの」
「は…」
「帰んねえならどうなるかわかんねーぞ」
「あっ…わ、わかったので、あの…」

近い。かつてなかったほどに近い。体中がどくどくと脈打った。三上と目を合わせられずに彼のネクタイの結び目を見ている。しかし三上は笠井の腕を掴んだまま動かない。ちらりと目を上げた一瞬に、待っていたかのように唇が触れた。笠井を離して三上は歩き出す。

「……うそぉ…」

何がラッキーカラーだ。ラッキーなのかどうかわからない。

 

061115

 

 

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