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※笠井がナチュラルに女の子なので苦手な方はアイシールド並みの速度でブラウザバックプリーズ。cf.012:水玉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(最低……)

もうやめてしまおうか。幼なじみの藤代に半ば強制的に引っ張り込まれたサッカー部、元々藤代がしていたのを見るのは好きだったが、このマネージャー業は思ったよりも負担が大きかった。先輩たちに可愛がられている自覚ぐらいはあるが、しかし彼らも子どもではないし、何より真剣にサッカーをしている。実際練習が始まれば笠井はマネージャーのひとりであって、あちこちへ走らされたり重いものを運んだり、帰りの時間も毎日遅い。楽しくもあったが最近はそれ以上に辛さの方が勝ってきた。

(今日誕生日なのになあ〜……)

祝日で学校は休み、友達が誕生日会を企画してくれたが、当人が部活ではどうしようもない。束の間の休息に、秋風の寂しいベンチで溜息をつく。3年生が引退し、世代が代わった。最後の試合は納得のいかないままで終わってしまい、それがかえって今の代を刺激したのか、気合いを入れて新人戦に備えている。笠井も来年は高校2年、今から受験について考え出している人もいる頃だ。――マネージャーは選手と違う。頑張ってもスポーツ推薦はもらえない。

休憩中だというのにボールを転がしている部員たちを眺めて溜息をつく。楽しみにしていた誕生日会が、こんな寂しい午後になってしまった。大体部活の予定表を出すのが遅いのだ、今はこの場にいない顧問を恨む。友達と買い物に行ってお茶をして、そんな時間を過ごしたい。この間買ったワンピースもブーツも、もう2週間は出番を待っている。

「寒い……」
「大丈夫か?」
「へっ?」

体を小さくして振り返ると先輩選手が立っている。いつからいるのかわからないが全く気づかなかった。かたまってしまったので動揺は現れていないようだが、彼はわずかに目を細める。

「やるよ」
「え」
「飲め。天気悪くなってきてるからまだ気温下がるぞ」

差し出された缶が手のひらに押しつけられる。熱さに慌てて袖を引っ張って持ち直した。茶色い缶は見慣れたココアだ。顔を上げた頃には姿はない。グランドの部員に向かって走る後ろ姿があるだけだ。

「三上先輩……」

緊張の解けた体でそれを見送り、慌てて背筋を伸ばす。ココアの暖かさに惑わされかけた。自分がこんなに単純だと思いたくない。こんなに一瞬で、あっさりと奪われてしまうほど安くないつもりだ。だから、ありえない。――好きになってしまったら、やめられなくなるじゃないか。それは困る。華の盛りの高校時代、こんな汗臭いマネージャー業で終わらせたくない。そう思うのに、手にしたココアの存在感。かあっと体が熱くなる。
これはベタすぎるんじゃないか、あまりにも。指先を暖める缶を握りしめてうつむいた。三上の声が耳に届く。誰かと笑い合っているのに、相手は誰だかわからない。

(ダメだ)

好きになってしまった。たった一瞬で。

 

*

 

派手なくしゃみに驚いて、大丈夫ですか、と聞く。三上は手を振って大丈夫だと示し、ティッシュを出して鼻をかんだ。風邪をひいたと言ってから三上はポケットティッシュを手放せないでいる。笠井もそれから思わず配られるティッシュをもらってしまい、三上の手元にないときは差し出した。我ながら甲斐甲斐しい彼女だと思う、三上が誉めるはずもないので自分で誉める。

「あ〜……部活ダリィ……」
「大丈夫ですか?」
「するしかねえしな」

いかにも寒々しいグランドを眺めて、三上は嫌そうに顔をしかめた。

「……自販機行くけど、行く?」
「行きますっ」

笠井の笑顔に笑い返し、三上が歩き出す。部活が始まるまでの、このささやかな時間も笠井にとっては貴重だ。去年の自分にはこんなことは想像もできなかった。
三上が自動販売機に小銭を落とす。指がボタンに伸びる前に、さっと笠井のそばをすり抜けた誰かが三上を突き飛ばした。その勢いで自動販売機についた手が、ボタンを押す。ガコン、と缶が落ちてきた。

「あっ!てめっ……また藤代か!」
「油断大敵っスよ〜」

ひらひらと手を振って藤代が逃げていく。一瞬の出来事についていけていない笠井を気にせず、三上はしかめっ面で落ちてきた缶を出した。そのままの表情で舌打ちをし、取り出した物を笠井に渡す。急な熱さに慌ててジャージの袖を引っ張り、……デジャブ。手の中の缶を見れば、今年も自動販売機に戻ってきたココアだった。

「あの……」
「やる。ンな甘いの飲めねえ」
「……三上先輩、去年もココアくれたの、覚えてます?」
「あ?あー、さあ?去年も何度かやられて適当に処分してたから」
「……そうですか」

となると、笠井はこのささいないたずらのせいで三上に惚れたことになる。コーヒーを買い直した三上に声をかけられ、なんとなく落ち込んだ気分で着いていった。様子に気づいた三上が呆れた表情で歩みを合わせる。

「明日」
「え?」
「どこ行くんだよ。誕生日なんだしどこにだって連れてってやるよ」
「……先輩が一緒なら、どこでもいーです」

好きになってしまったのだから、今更どうこう言うつもりはない。先日早い誕生日プレゼントとして買ってもらった服を着て、明日はデートだ。缶をあけてココアを口にする。甘いココアは冷えた体を温めた。いつの間にか三上を追い越していたことに気づいて振り返る。

「先輩?」
「反則……」
「はい?」
「……俺が惚れ直すぐらいキレイにしてこい」
「……どこ連れてく気ですか」

思わずにやけて三上の隣に戻る。初めは違ったかもしれないけれど、三上が自分を好きになってくれて嬉しい。

「プレゼントは?ほしいもんあるか?」
「ううん、もらったから、いいです」

きっとココアは忘れられない物になるだろう。  

 

071109

 

 

 

 

065

主×忍で状況考えずに書いたエロを含む色々と酷いパラレル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竹巳!俺に何をした…!」
「…あなたが悪いんですよ。大丈夫です、ちょっとしびれるだけだから…」

ゆっくり近づいてくる笠井に視線を向けて、三上は目を凝らす。渡された飲み物を飲んでしばらくしたら体が動かなくなった。甘かった、舌打ちをするのを笠井が悲しそうに見て、三上の手からそっと茶碗を取る。

「そんなに嫌ですか?」
「自分の身ぐらい自分で守る!」
「……亮様はわかってらっしゃらないのです、ご自分が俺にとってどれだけ重要な人物なのか」
「わかってる!」
「じゃあどうして!……俺を拒絶するんです」
「やめろ、竹巳ッ……」
「例え亮様のご命令でも、これだけは聞けません。……罰なら後で受けます」

帯を引いてその場に落とした笠井は三上のそばに跪く。はだけた着物の間から白い肌が覗き、三上は尚も体を動かそうとするが指先がかろうじて動く程度だ。制止の声も聞かず、笠井が三上の着物にも手をかける。裾を割ってまだ萎えている物に手を触れた。笠井がのどを鳴らす。

「…痛かったら、言って下さいね。慣れてないので」
「竹巳ッ、あっ…!」

ゆっくり顔を寄せて先端に舌を這わす。
笠井の家は代々三上家に仕えてきた忍の一族だ。正当な契約の元、ひとりにつきひとりからふたりの忍がつくのが慣習となっている。尤も、近年は平和な時代が続いているため、忍は仕事の補佐が主な役目となっていた。そしてそれとならんで重要になってくる、夜伽。特に三上のような、位の高い者になるほど外の人間は警戒しなければならないため、容易に女を引き込むわけにもいかない。間違って跡継ぎでもできてしまった日には大騒ぎになる。忍相手ならば心得ているし、満足させることもできるだろう。いつからそんな風習になったのかはわからないが、ふたりの代ではそれは普通のことだった。
熱い舌の感触に飲まれながらも、三上は必死で体を動かそうとする。効き目の強いものではなかったのだろう、少しずつだが動かせるようになってきた。

「…亮様、そんなに俺が嫌ですか…?」
「違う、そうじゃないッ」
「俺をあなたの忍にしてくれると約束したのは、嘘だったんですか?俺は、そんな子どもの戯れ言を、信じてきたのに…」
「竹巳、違うんだ、俺は…!」

笠井の愛撫で起きあがったものを柔らかい口にくわえられ、三上の体は跳ねる。竹巳の肩から着物が滑り落ちた。三上への刺激を続けながら、竹巳も興奮しているのが見え、三上の体は更に熱くなる。

「……俺、下手ですか?」
「竹巳……やめろ、ヤバいからッ…」
「…大丈夫です、出して下さい」
「ッ…!」

次の瞬間弾けたものは笠井の口だけでは受け止められず、顔や胸に降りかかった。口の中のものを飲み込む笠井に三上は眉をひそめる。

「悪い…」
「…どうして謝るんです。俺は、亮様…」
「竹巳…違うんだ、俺は…お前を汚したくない」
「……亮様、それは違います。俺が抱かれたいのはあなただけだ。……ご存知ですか?主のない忍がどうなるか」
「どうなるんだ」
「……今の世は平和ですから、捨て駒にはなりません。しかし一旦戦でも始まれば囮や捕虜に。……俺は先日から、先輩たちのお相手が始まりました。薬や術の実験や、ッ…」
「竹巳、俺は」
「……亮様をせめるわけではありません。ただ一度でいいんです、思い出を──」
「竹巳!」

ようやく動いた体で笠井を抱きしめる。小さく震えた笠井をできる限り強い力で引き寄せ、ただ悔やんだ。 ──本当に、大切にしたかったのだ。成長して忍の意味もわかって、竹巳を好きだからこそそんな存在にはしたくなかった。

「亮様…俺、」
「竹巳」
「もう、こんな体なんです。…こんなに浅ましくて、亮様にふさわしくないのはわかってます。でも、一度だけでも」

あなたが最後の砦だ。あのひどい惨劇の日に覚悟した。──結局自分は忍に向いていなかったに違いない。初めから、自分で主を選んでしまった忍などが役に立つはずがなかった。よく見れば三上も笠井の体に散る傷跡に気づくだろう。強く抱きしめて、竹巳は呼吸を整える。こんなにも我の強い自分が三上を守れるはずがない。
終わったら集落を出よう。それは命がけだけれど、役の決まった忍は今更仕えることはできない。三上の温もりを肌に残し、殺されるならばこの優しい人がいないところで。一晩で作り替えられた体を三上に預ける。互いの呼吸を、鼓動を聞き逃すことのないように抱き合った。

「亮様、名前を呼んで下さい」

俺がいたことを忘れないでと願う。忍の考えじゃない。まだ体がしっかりしない三上に抱きしめられながら、自分を見つめる顔に手を添える。涙が溢れてくるのを無視して三上に唇を押し付けた。  

 

070511

 

 

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