「突然ですが愛の告白をしようと思います」

そのセリフから始まって、俺は突然愛の告白をされることになった。


レ ッ ツ シ ン キ ン


「例えば今笠井君を組み敷いてるのが笠井君がすっごい好きな奴だとします」
「それは自惚れてますか?」
「自惚れてます。今は仮に三上亮とします」
「はぁ」

脳味噌沸いたかなぁ。
実際今俺を組み敷いているのは三上先輩、自称「笠井竹巳がすっごい好きな奴」。

「すっごいすっごいこの人しかダメってぐらい好きだとする」
「はぁ」
「それは三上亮じゃなくても?」
「・・・はい?」

意味が分からない。
何を言いたいのか分からない。どの辺りが用件なんだろう。

「三上亮じゃなくても、すっごい好き?」
「・・・・・・じゃあ先輩は、」

答えられないので誤魔化し。
質問の意味が分からないんじゃ答えようがない。

「今先輩が組み敷いてるのがすっごい好きな奴で、それは笠井竹巳ですか?」
「笠井竹巳です」
「例えばそれが別の人だったら?」
「すっごい好きな別の人でも笠井とイコールにはならない」

それが先輩からの愛の告白。

 

 

 

「意味が分からない」
「俺はもっと分からない」

誠二が隣でお手上げをした。お手上げなのは俺だ。
要するに「俺のことが好きか」と聞かれているんだろうコトは何となく分かる。でも深いところに何があるのか汲み取れない。

ふと見た窓の外で三上先輩が野球をしていた。
好きだよ。
好きだ好きだ好きだ、目で視線を送ってみるが段々嘘臭い気がしてきた。
俺は本当にあの人が好きなのかな?

例えば上を見上げたら、
すっごいすっごい好きな人が天井から降ってくる明かりを遮って、代わりに気持ちを降らす。
その人はそこでどんな風に笑うのか。

誰?

 

 

「質問の意味が、分かんない」
「・・・質問じゃなくて告白」
「俺は先輩みたいに立派な脳味噌持ってないので分かりませんでした」
「つまり率直に言うと」

何でふんぞり返ってるんだこの人は。
そう言えば三上先輩がさっきから笑わないのに気がついた。

「笠井君は俺を利用してるよなって質問してるわけだ」

三上先輩はそう笑って言ったのだ。
笑わずにそう言った。

 

「・・・何で、先輩は何でも分かっちゃうんですか」

 

 


続くんですよ。

030608

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