彼女が出来た。

 

クラスの奴に。


ア バ ウ ト ラ ヴ


「あーあー、顔緩みっぱなしだよ古庄」
「キモイって」
「何で古庄かなぁ・・・」
「オイ笠井、その発言は聞き捨てならねぇ」

 

俺は別れた。

三上先輩と別れたんだ。
だってバレてしまったから。

笠井君は三上先輩を利用していた。
その事実で今回のお話はコレでおしまい。
三上先輩は至って普通に接してくる。そうキスとかする。
でも関係的には先輩後輩であるはずだ、それ以上何もないから。

 

 

 

「お前、親父が嫌いなだけだろ?」
「そうですね、それだけかもしれない」
「俺じゃなくても良いんだろ?」

男だったら、
先輩がそう続けた。
そうかもしれない。きっとそうだ。
だって改めて考えたら俺は先輩のことなんか全く好きじゃなかったからだ。
先輩として好きかと聞かれればイエス。
恋愛対象として好きかと聞かれればその答えは難しい。

「ねえ先輩」

恋愛というのは難しいと思う。
国語のようにハッキリ答えがないクセに、数学のようにハッキリ答えを出さなきゃいけないんだから。
しかも本当の答えはないのにね。

「先輩は俺が好きなの?」
「うん、それ、ずっと昔にゆったと思う」

 

 

昔という表現が使えるほど長い間一緒にいた覚えはない。
14年間生きてきて2年しか一緒に居てないんだ。

お父さんというのは笑わない生き物だと思っていたことがある。
幼稚園の運動会で違うと言うことを知ったけど。 因みに父さんは来なかった。
世間的に言えば立派なお父さんだ。
酒も付き合い程度、煙草も吸わない、ほぼ毎日定時には帰ってくるし気まぐれにお土産もある。
勿論浮気の気配なんか一切ナシ、休日は息子と遊んでくれるし、食事は可能な限り家族と摂る。
お父さんは笑う。
だけど笑わない。
今はもうそんな違い分からなくなってしまった。幼児だけの持つ敏感さが知ってたんだろう。

殴られたこともない。
一度だけ、殴られるかと思ったときがあったけど。

おばあさんが居るよ

と俺は言っただけだ。
誰もいないんだ。
生きてる人とそうじゃない人の違いがよく分からなかった。
父さんも母さんも、自分も死んでる人かと思った。

 

 

 

「笠井?」

先輩に呼ばれて初めて泣いてることに気がついた。

「先輩のバカ」
「は?」
「三上先輩のバカ」
「ふざけんなよお前、こんな優秀な脳味噌捕まえて何言ってんだよ」

それはこっちのセリフだ。

「俺は先輩の何だったの?」
「さぁ、それは自分で考えろよ」
「じゃあさ、先輩」
「何?」
「先輩は、俺が何したら怒るの?」
「・・・怒るなって言うなら怒らない」

嘘だよ、先輩直ぐ怒るもん
そんなことを言ったらやっぱり怒った。

「せんぱい」
「いいよ、して欲しいこと何でもしてやるから」

先輩は嘘吐きだ。
そんなこと知ってる、昔から嘘吐きだ。

「じゃあ先輩」

 

 

「俺は先輩のこと利用してないって言ったらどうする?」

 

 

「それは美味しく頂くことにする」
「・・・・・・」

 

 

Let's thinking about love.

 

 


笠井父は悪役らしい。
レッツシンキンの続き感覚で、続けてレッツシンキンアバウトラヴ。
ラヴって何かものっそい恥ずかしげですね。ラブでいいじゃん。

030608

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