「・・・なんか」
「ん?」
「今すごく先輩に会いたくない感じ」
「・・・・」それどういう意味ですか。
三上は口をつぐんで笠井を見た。笠井は特にいつもと変わらない表情で、黙々と朝食をとる。「・・・今なんて?」
「だから会いたくないって言ったんですよ」
「・・・・」そう言われても彼らは寮生、嫌でも顔を合わすだろう。知らないうちに生活スタイルが似てきているのだから尚更だ。
「・・・えーと・・・どうしろって?」
傷つくのを承知で言ってみた。
笠井はやっぱり淡々と、「しばらく俺の視界から消えてくれません?」
俺 なんかしましたか。
w h y
「したんじゃないの?」
「・・・お前今心底面倒臭いとか思ったろ」まさか!
わざとらしく驚いて見せる中西に溜息を吐く。友情の厚さに泣きそうだ。
やっぱり相談相手に中西はミスキャストか、しかし笠井のことなら不本意ながら中西か藤代に聞けば大概事情は知れる。今回は藤代は不発だった、ならば悲しいながら中西に頼るしかない。
なぁ、なんて泣きついてみれば楽しげに笑った。鬼だ。「残念ながら今回は知らないなぁ、ホントに三上は心当たりないの?」
「・・・ないからテメェに泣きついてんだよ」
「それもそうか。また女の子と一緒に歩いてたとか」
「あいつは喜んでそれを推進するぞ」
「笠井って分かんないよね、俺だったら辰巳が女と歩いてたら問いつめて叩きのめすのに」
「お前の場合その相手をだろ、その思想の限り辰巳は他に手ェ出さねぇよ」
「だって俺のもんに手ェ出した罪は重いのよ」
「可哀想な辰巳・・・」
「目下のところ可哀想なのは三上くーん」
「うるっせぇ!」
「笠井もどうしたのかね」
「俺なんかしたか〜!?」フィールドでは指令塔もスパイクを脱げばただの中学生だ。ただの中学生ではない彼はよしよしと三上の頭を撫でてやる。
「本人に聞いてみればいいじゃん」
「・・・だって近寄るなって言われたしー」
「素直ー」
「だって笠井怖いしー」
「可愛いじゃーん」
「・・・可愛いけど」
「・・・残念ながら今可愛いのは三上くーん」
「なんでだよ」
「まぁたまには三上の味方もしてあげようかなー」
「まじでッ!?」
「明日俺風呂掃除なんだよねー」
「・・・・」みんな敵。
「今回はどうしたの?」
「・・・今回はってそんな毎回みたいな言い方」
「合ってるじゃない」
「・・・・」顔をしかめた笠井に笑いかけ、中西は顔を覗き込む。
とりあえず怒っているわけではないらしい。怒ると言うよりは拗ねている感じだ。
どうしたの?好奇心を露わに聞いてみる。笠井は不機嫌な顔で中西を見た。「・・・三上先輩にばらすからやだ」
「じゃあ言わないなら教えてくれる?」
「・・・ばかたいだからやだ」
「・・・・」どうも今回は強情だ。暗い表情ではないから何かあったわけではないんだろう。
・・・余計に、気になる。「・・・どうしてもだめ?」
「・・・やだ」
「あら」
「・・・だって自分でも嫌なのに」
「どうしたの」
「・・・」誰にも言いません?
じっと見てくる笠井の目が真剣なので頷いた。からかう場面ではない。「・・・俺なんか変なんです」
「・・・そう?」
「触ってるなら平気なんです」
「うん」
「・・・やっぱやだなぁ」
「何よ」
「・・・先輩と話してると緊張する」
「・・・その先輩は俺じゃなくて三上先輩よね」
「・・・不本意ながら」
「そんで何で緊張するかも分かってるわけね」
「・・・分かってますけど納得いかない。一緒に寝るときにどきどきするなら分かりますよそういうことをするならどきどきしますよ生理現象ですから、」
「まぁそう言っちゃ身も蓋もないけどね」
「じゃあなんで俺は何でもないときもあんな人にどきどきしなくちゃなんないんですか」
「俺惚気聞きにきたわけじゃないんだけど」
「誰が惚気てるんですか」
(惚気てるよ)
「・・・因みに先輩は辰巳先輩と話しててどきどきしますか」
「しません」
「・・・・」黙ってしまった笠井を前に中西は困って顔をのぞき込む。きゅっと顔をしかめた笠井の目は真剣。
(・・・別に、片思いしてるわけじゃないんたから素直に言っちゃえばいいに)
真っ直ぐ気持ちをぶつける中西には笠井の気持ちは分かりかねるが言わんとするところは理解できた。
さてどうしたもんか。しばし考え、落ち着いたのはまぁいっかという結果。喧嘩をしているわけじゃないからほっといてもいいだろう、部内に影響はない。
三上もばしっと怒鳴っちゃえば片がつくのに。呆れた二人に保護者の気持ちで溜息を吐く。
「・・・・」
自分で聞きにこないし、寝坊するし、こんなとこで寝るし、…笠井は溜息を吐いた。
学校の屋上、むき出しの地面の真ん中に大の字で寝ころんで、…本気で寝ている三上を見おろし、眩しそうにしているので太陽の向きに立ってやった。顔に影がかかり三上の顔が緩む。「・・・ばーか。まぬけ。ヘタレ。変態」
三上がぴくりともしないのを確認し、笠井はその場にしゃがみこむ。
じ、と顔を見た。緊張する指先を握る。じわりと手の平に汗。
自分が情けない気がして笠井は溜息を吐いた。深呼吸をして三上を見る。「・・・・」
静かな表情。屋上には気持ちのいい風が吹いた。
この季節なら外で寝ても寒くはないだろう。どっちにしろ風邪ひきますよなんて声をかけるつもりはない。何も言うことなんてない。「・・・先輩聞こえる?」
返事はなかった。寝てるんだろうとは思う。
「・・・・」
口を開きかけて笠井はためらった。
起きてたら?…
両手を伸ばして三上の耳塞ぐ。「だいすき」
「・・・なんか笠井にすげぇ睨まれてんだけど」
「・・・ごめん・・・睨まれてるの多分俺だわ」
「中西が?」三上はそっと振り返って笠井の様子を見た。確かに中西の方を睨んでいる気がしなくもない。
「どうしたんだ?」
「・・・聞くつもりじゃなかったんだけど成り行きでデバガメに・・・」
「は?そういや俺昼間笠井の夢見た、なんかいきなり告られたの」
「・・・・」中西が呆れていると背後からお椀が飛んできて三上に直撃した。
三上が呻くのも待たず笠井のご馳走様と言う声が聞こえてくる。「った…誰だッ!?」
「・・・・」ホントに寝てたんだ。
中西からの哀れみの視線に三上は気付かない。「・・・ばーか、」
中西が呆れて笑った。事情の知らない三上は顔をしかめるばかりだ。
「君ら面白いね」
「何がだよ」
「別に、幸せだねぇ」
「どこが!」
・・・三笠の書き方忘れました!(焦)
え、どうするよ。三笠ってどんなの?おおお・・・辰中にかまけてたら・・・。
携帯新しくしての第1作。笑。auは字数多くていいね・・・!040601
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