木 綿 の ハ ン カ チ ー フ


3年前も同じことを思った。
俺は3年間何も成長してないのか?3年前とは状況が違うのに。
だから神に祈ってやった。
あいつが第一志望落ちますように!

 

「東北」
「・・・・・・」
「寒いね」

志望調査のプリントを辰巳に返す。何か言いたげに見てくるのを無視しているとプリントの続きを書き始めた。

「・・・遠いね」
「・・・そうでもないぞ」

自分のプリントを持て余し、シャーペンで辰巳の机を叩く。
朧気な進路は決まっていても細かい大学名まで決まってない。後ろの席の辰巳君は迷うところがないみたいですけど。

「母さんの実家がそっちなんだ」
「ふーん、俺のとこどっちも東京よ。そっち下宿できるからそこなの?」
「おじさんが教授やってて」
「あわよくば裏口?」
「違う!」

俺は東京から出る気はない。
幸いにもこいつに付き合って勉強してたらそれぐらいの頭は出来た。向こうにしてみれば邪魔だっただろうけど。

「・・・何で医大?おウチ出版社でしょ」
「いや、継ぐ気は」
「ないの?なんで医者よ」
「医者って言うか・・・。・・・風祭に会ったんだ」
「・・・誰?」
「・・・藤代が騒いでただろ、選抜合宿で」
「ああ・・・そんな人も居たね」
「たまたまだけど見かけて、少し話をしたんだ」
「単純ー」
「それだけで決めたわけじゃない、決定打に近いけど」
「ひとりで決めちゃうんだね」
「───ひとりで決めるだろ」
「うん・・・なんでもない、ごめん邪魔して」
「・・・・」

ガキじゃないからじゃあ俺もとか言うつもりはないし、行かないで、なんて、それだけは言いたくない。
罵声なら幾らでも吐ける、そんなセリフを吐く自分を許せるほど丸くなってない。

・・・遠恋なんてふざけたことをやるのか?それともスッパリ切られるのか?切るか?
不安にでもなれば可愛いのかもしれないけど生憎腹が立つだけ。

「中西」

背中をつつかれて振り返る。
すっかりプリントを埋めてしまって暇なのか。俺のも代わりに埋めてくんない?

「何 怒ってるんだ?」
「・・・俺の何処をどう見たら怒ってる?」
「怒ってないか?」
「怒ってない、腹は立ってる」
「それは怒ってるんだ」
「俺はどうしたらいい?」
「どうもするな」

そう言うことを聞いてる訳じゃなくて今後の身の振り方を聞いてるんだけど。
妙に真剣に見てくるからばからしくなってくる。

「・・・俺第一志望団地妻vにしとこう」
「!」
「あ、でも医者は団地になんか住まないね」
「・・・・」

 

「例えば俺が神に祈ったらどうする?」
「・・・何を?」
「辰巳が第一志望落ちますようにって」
「お前の言うことを聞く神なんかろくな奴じゃない」

言うね。
しゃーないか、後悔しそうな長い付き合い。

「夏の間ぐらいは遊びに行ったげる」

あーばかみたいとか思うけど。
それに返事がないってことは捨てる気はないのねダンナ?

 

 


辰巳が風祭と出会ったのはinドイツで辰巳は天城の所に遊びに行ってて実は辰巳父と天城父は知り合いだったらいいなとかそういうストーリーです(長いがな)。
歌と関連づけようとして失敗したヨー。
あ、3年前ってのはネギの受験時のことで。ウチのネギは高等部行かないので。

040503

 

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