0 2 : 鍵 の な い ド ア

「・・・中西さん」
「あ?」
「顔怖い」
「ほっといて」

見るもの全てを攻撃するような中西の視線から三上は顔を逸らした。
それでも視線は痛い。ばしばしと攻撃してくる。

「なんでンな不機嫌なんだよ」
「なんでって、俺がこのクソ眠いのに談話室にいなきゃなんないからよ」
「睨むなって」

睨んでない、と中西は言うが目つきが非常に悪い。
眠い所為だと中西は言い張るが。

「何?根岸まだ寝てんの?」
「多分。あーもーむかつく・・・幾らネギっちゃんでもむかつく・・・俺三上の部屋で寝ていい?」
「やだ」

中西と根岸の部屋には鍵がない。
いや、鍵はあった。あったはずだ。今はない。なくしたともいう。
中西が出ている間に、根岸は本気で勉強すると言って部屋の鍵を内側から閉めた。
そうでもしないと藤代辺りがゲームを抱えて踏み込んで行くからだ。
・・・それで、そのまま寝たらしい。きっと机に向かったままだろう。
中西は外からドアを叩いても無反応で、鍵を持っていない中西にとっては鍵穴などないのと同じことだ。

「ねぎしのばか・・・お布団で寝たい」
「もっぺん行ってくれば?起きてるかもしんねーし」
「もう動くのすら嫌だ。ここで寝よっかなー・・・でもプライドが許さないんだよねー・・・」
「・・・・・・」
「ネギの邪魔したくないしなー」

それにしたってその顔は凶悪だ。
根岸は中西と違って受験生という身分だ。高等部に進まず外部受験をすると、中西は3年に上がったときから聞いている。

「・・・お前根岸大好きだね」
「大好きよー俺根岸が俺のこと大嫌いでも大好き」
「・・・・・・」

三上は静かに両手をあげる。
それを知ってか知らずか、中西はぐすんと鼻を鳴らして溜息を吐いた。

「俺なんか勿体ないぐらい」
「・・・中西、」
「・・・・・・」
「お前の『俺なんか』とかキモイから」
「・・・そうでした。今の発言取り消して、ネギっちゃんに怒られる」

きっと根岸には鍵を掛けるようなドアは似合わないのだ。
それどころかドアだってあるのかどうか疑わしい。
何重にかドアを持つ中西とは違いすぎて、言わないけれど少し羨ましい思いもする。

「・・・もっかい声かけて駄目だったら辰巳のトコで寝よう・・・」

それはそれでいいんだけど。
中西はゆっくり立ち上がった。


中根じゃないんですよ。

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