0 6 : ネ コ が 見 て る

「・・・・・・」
「どうした?」
「・・・はっ、まさか食べる気!?」
「お前さては俺のことを人間扱いしてないな」

ネコを抱いた渋沢は笑顔で中西を見る。それは勿論笑っているわけではない。

「だって、ネコ凄い毛が立ってるんだけど」
「三上が連れてこいって言ったんだ・・・」
「お前は三上の犬か!」
「・・・・・・」
「守護神様の腕が可哀想だから俺が連れていってあげるよ」

よしよしとネコを撫でて、中西は渋沢の腕からネコを持ち上げる。
前に抱いたときよりも重くなったような気がして、中西は子どもは成長が早いわねェなんてふざけた。

「なーんかネコって渋沢苦手だよね」
「座ってると平気なんだ。立ってると近付いてこない」
「でかいから怖いんじゃない?」
「・・・辰巳ですら平気なのに?」
「あー、そうね。じゃあ渋沢が嫌いなんだ」
「・・・・・・」

そこまではっきり言われると少しへこんでしまう渋沢を置いて、中西はネコを撫でながら三上の部屋に向かう。
三上も分かってるんだから渋沢に捕獲を命じるのは少しひどい。ついでに説教もしてやろうなんて思いながら、中西はご機嫌で三上の部屋に向かう。
ネコを片方の体に預け、コンコンとノックをしたのと同時ぐらいにドアを開けた。

「みっかみー」
「・・・・・・中西」
「あらお邪魔?お邪魔のようね」
「なっ、中西先輩助けてっ」
「にゃんこー、パパとママはこれからふたりの時間を育むらしいから俺と遊んでようね」
「変なことすんなよ」
「三上も笠井にあんまり変なことすると愛想つかされるからね」
「ありえません」
「ていうか中西先輩のバカッ!」

じゃあねーなんて笠井に手を振って、中西は降りようとしたネコを止めてドアを閉める。
ネコをぎゅっと抱きしめて歩き出した。
さてどうしよう、と考えながらも既に行き先は決まっていて、足は辰巳の部屋へ向かう。

「たっつみー」

コンコン、ノックの後少し待ってドアを開ける。
ゴン。

「・・・・・・」
「あらータイミングバッチリ?」

ドアを開けようとしていたらしい辰巳が額を押さえて立っていた。
勿論中西は確信犯だが、そんな素振りは見せずに辰巳の頭を撫でてやる。

「・・・珍しい組み合わせだな」
「あらそう?俺結構仲良いのよ?」

ねー、とネコに聞いてみれば、タイミング良くネコが鳴く。
三上の気持ちが少し分かって、ネコの毛の中に顔を寄せた。何となくいい匂いがする。

「入っていい?」
「入る癖に」
「と言うわけでお邪魔します」

中西は笑顔で中に入り、ネコを抱いたまま勉強机に向かう。
宿題か何かに取りかかっていたようで、机の蛍光灯がついてその下にプリントが広げてあった。

「あれー、何このプリント。見たことない」
「お前のクラスと数学は先生違うだろ」
「あぁそっか。いいなー。あのおっさん分かりにくいんだよねー」

中西が少しかがんでプリントを見ていると、ネコが腕から飛び降りる。
椅子に着地し、少し様子を伺うようにくるりと回ってそこで丸くなった。

「あら」
「・・・・」
「ここが良いって」
「別に、急ぐプリントじゃないから良いけど」
「寝ていー?」
「・・・何しに来たんだお前は」
「辰巳と寝にv」
「却下」
「最近辰巳口がよく回るね」

誰の所為だ、
顔をしかめる辰巳を無視して中西は勝手にベッドに潜り込む。布団は少し冷たい。
布団から顔を出してネコの方を見れば、何やら真剣な目で見つめ返してくる。

「・・・変なネコ」
「多分お前には言われたくないんじゃないか」
「ひどーい。だってこいつ変じゃない?」
「さぁな・・・」
「変ネコだ変ネコ」

へんねこー
中西はネコを呼ぶが、相変わらず見つめて来るばかりだ。

「・・・もしかして俺のこと好きなのかしら。俺には辰巳という人が」
「はいはい」

辰巳はネコを抱き上げてベッドに落とす。
しばらく丁度いい場所を探して歩いたネコは、結局中西の顔の傍で座り込んだ。布団で爪を研ごうとするのを中西が制す。

「・・・やっぱり見て来るんだけど。いて」

ネコが中西の顔にすり寄る。頭突きにしか思えない。

「・・・ネコはともかくお前はそこで寝るなよ」
「えー、ちょっとぉ。可愛い恋人が迫られてんのよ?」
「恋人いないし」
「はいはい照れ隠しはもう良いから」
「・・・・・・」

中西はネコを抱き込んで丸くなる。
ネコは中西を見上げ、何度かまばたきをした。

「おやすみー」
「・・・だから、・・・」

振り返った辰巳は毒気を抜かれる。
顔を噛まれそうになった中西が反射的に顔を上げ、ネコはそれに更にすり寄っていく。
辰巳は思わず吹き出した。あの中西がネコ相手にたじたじだ。

「お前マタタビでも持ってるのか?」
「つーか、結構笑い事じゃないんですけど。いた、だから噛むなって!」
「相当好かれたみたいだな」
「何なのこいつ〜〜〜」

畜生、
中西はささやかなお返しにネコをつついてやった。


これ何の話?
にゃんこはうちの2匹の総合。
モカは爺ちゃんや父さんを見ると逃げる。ミルは母さんに絡みに行く。

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