「三上っ。はやく、こっち!」

「………………」

 

 

ちょっとの期待とおっきな努力

 

 

良く晴れた日曜日。

数日前から楽しみにしていた三上とのデートの日。

「腕を組むな」

「いいじゃない。嬉しいんだもん」

設楽は三上の右腕にしっかりとしがみつく。

なかなか首を縦に振らない三上を頷かせるために、この日まで必死になった。

サッカーの試合だってあんなに頑張らないと思う。そんなこんなでやっとこじつけたデートの日。

「どこ行くんだ?」

「うん?う〜…んうん。どっか」

「決めてないわけか」

だって頷かせたのだって昨日だし。とは、思ったけど言わない。

「どこ行く?」

「んとね〜…ラブホとか?」

「真昼間から襲われたいのかお前」

「襲われたい」

「竹巳がその台詞吐いたら速攻襲うんだけどな。残念」

「俺じゃ駄目?」

「駄目」

「…じゃあ映画」

「はいよ」

人通りの多い道。振り解かれないから腕を組んだまま二人で歩き出す。

時々人の視線が気になって三上を見上げると、こっちはあんまり気にしてなさそう。

 

 

 

 

これだけでもけっこう嬉しい

恋人がいるのに相手をしてくれて

こうやってなんの文句も言わないでくれて

けっこう優しくて

だから少し期待もする

 

 

 

きゅっと腕に力をこめる。

 

 

 

 

 

 

みたのはごく普通の恋物語系。

片思いの女の子が日々努力を惜しまないとかがテーマ。ちょっと健気、かなり同情。

暗い中で隣りの三上に目をやると、真面目に見ているのか見ていないのかぼーっとしていた。

 

 

 

 

 

映画も見終わって、人のあまり入っていない喫茶店で時間をつぶすことにした。

甘い物頼んだら三上が思いっきり嫌そうな顔をした。

「楽しかった?」

アイスコーヒーを飲みながら三上が訊いてくる。

「………まぁそれなりに」

「あっそ。なら良かった」

「ありがとう三上」

「うん」

「ありがとうついでにさ、夕方まで傍にいてもいい?」

「いいよ。どうせ今日は部活サボって夜まで帰れねえし」

……………。

返答に困った。

サボったってことは当然部活があるわけで、しかもばれたら怒られるわけで。

あの強豪武蔵森の監督ってくらいだからそりゃ恐ろしいだろうし、実際キャプテンも恐いし。

「おこられる?」

「ばれたらな」

それを聞くとなんだか申しわけ無い気持ちでいっぱいになって思わず俯いた。

部活サボらせたのはちょっと罪悪感。

三上が不思議そうに除きこんでくるのが気恥ずかしい。

「―――!?」

前髪を引っ張られて強制的に上を向かされる。

痛い。

「な、なに?」

「気にすんな。たいしたことじゃねえから。」

「え…う………」

「竹巳だったら”俺のためなら当然でしょ?”とか言うぞ?」

笠井と一緒にしないで欲しい。あれは女王。自分はとりあえずそんな所は気にする。

頭の中は真っ白になって、おまけに三上に引っ張られた前髪あたりがいたくて設楽は泣きそうになる。

髪を綺麗に上げたウェイトレスの人が、不思議そうに二人の様子を見ながら

設楽が頼んだショートケーキを机の端において去って行った。おまけにアイスミルクつき。

やっと手が離される。

真っ先に手にしたのは生クリームの上に乗ったイチゴ。ケーキの横によける。

「……イチゴ、最後までとっとく派?」

「うん。最後にね味わって食べるの。三上は?」

「俺もとっとく。好きなものはじっくり……」

「三上が言うといやらしいね」

「だまれ」

ぎっと睨まれて苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

三上の寮に言ってもいい?

そう聞いたら「お前は俺と竹巳の仲を壊す気か」と言われた。それも云いなって思ったのは秘密。

でもね、実際壊れて欲しなと思ったのもホント。

だから、はちあわせしたときちょっとラッキーなんて思ってみた。

 

 

「………」

「………………………三上先輩」

本当に偶然だった。ちょっとCDの話をして、それを三上が持ってるといっったから

じゃあ借りに行こうとかそんなノリだった。ずっと腕を組んで歩いていたら、街中で笠井とはちあわせ。

設楽が三上を見上げると明かに青筋が立っていた。あぁ可哀想。

「部活サボって何してるのかと思えばこんなところで浮気ですか…」

なんだか笑ってるようないないような。

「いやーあのなぁ竹巳……」

「いいわけ無用。サヨナラ」

冷たく言って、笠井がくるりと踵を返す。

設楽は思わず笠井の腕を掴んでひき止めた。突然のことにさすがの笠井も驚いてる様子。

「……ねえ、好きなものは最後までとっとく派?」

「………は?」

何いってんの?みたいな目で見られた。

それから暫く二人でひそひそと話す

 

「…そっか……うんわかった。俺帰る。三上」

「ん?」

「今日はアリガト。また、ね?」

「ああ、また、な」

嵐のように去って行く設楽。三上と笠井がその場に取り残される。

「……あるんだ?またが」

「いや…わかんねえけど。いいのかなCD……」

「CD?」

「貸す予定だったやつ」

「へえ……サヨナラ」

「っや、待てよオイッ」

 

 

 

『好きなものは最後までっととく?』

『ううん。最初に手ぇつける。だってさ、好きなもの人に取られるのって癪じゃない?

一度手ぇつけちゃえばずっと自分のものだよ?まあでも三上先輩はいろんな物に手ぇつけ過ぎだね。あんたとか』

 

 

 

 

 

 

そっか。うんわかった。

大事な物には先に手ぇつけろって事。

とりあえず三上に関してはもう遅いから、もう少しだけ………がんばってみたりしよう。

かじってくれてる今のうちだけ。

 

 

 

 

 

 


初っっ。三設…?デート風にがんばってみました。
5000HIT申告してくださった銀太様へvvv申告ありがとうございました。
でも最後はやっぱり三笠だったり;;;ひぃすいませんっ!!!
もっと頑張って三設増やそう…(え)
ちなみに題名に意味無いです(殴)昔どっかであったよなこんなネタ……。







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