王子様は格好よくて優しくて、素敵な人だと誰が言ったのかな。
とりあえず、今目の前に居る人は。
眉間に皺。
「ハマリ役」
「誰に聞いた?」
屋上に駆け上って、落ち着いての開口一番。
「さぁ、誰でしょう?」
笑いを堪えながら、不敵な笑みで見上げる。
ぷっ
「あっはっはっー!!!!」
「た〜く〜み〜く〜ん?」
堪えられない笑いが、やっぱり爆発。
「だだだだだって!!!先輩が、先輩が、王子様役だなんてー!」
あっはっはっはー
腹を抱えて、一人苦しくてどうしようもない。
「しょうがねぇだろ!寝てる間に決まってたンだから! くそ、誰だ竹巳に言った奴・・・」
「せんぱーい、折角の文化祭なんだからもっと楽しみましょーよー?」
笑いで引きつる顔を何とか収めて、皮肉にそう言った。
屋上の柵に手をかけ下を見れば、お祭り騒ぎの真っ最中。
この二人で居る屋上がやけに静かで、なんだか不思議な感じがした。
「劇、格好良かったよ。」
笑いも収まって、一息ついて笑顔で振り向く。
「お疲れさん」
「・・・おう」
照れた顔が夕焼けと被って、さらに紅かった。
くすくす。
そう笑って、キィと古ぼけた屋上の扉を開く。
「もうすぐ、夜の部始まっちゃうよ?」
「体育館だっけ?」
「うん、何やるんだろうね」
ツカツカ。
「此処に居ようぜ」
ドアを手でおさえて、さりげに格好良く。
まるで「踊りませんか?」なんて言う、王子様のよう。
・・・なんだ、ハマリ役だったんだ。
「あははっ」
思い出し笑いだって、まだ十分に笑えた。
「・・・竹巳?」
顎に手をかけられたと思った瞬間、腰に手をかけられ奪われる唇。
「いい加減黙れ」って事だと思った。
やっとの事で解放されると、力が抜けて冷たいアスファルトに腰を掛けた。
そして背後から抱き込まれる。
「寒いですねー」
「今年の秋は何処に行ったんだろうな」
冷たく刺さる冬の風が一筋。
「・・・今日が終わっちゃいますね」
「・・・」
「ちゃんと楽しめてたみたいで良かった。来年は卒業生だけど、ちゃんと来て下さいね」
「うん」
「先輩みんな誘って。」
「うん」
「そしたらサービスしますから」
「うん、楽しみにしてる」
優しい声音が耳に直接伝わる。
日はどんどんと沈みながら。
気温もどんどん沈んでゆくけれど
それでも、まだまだ終われない。
「楽しかったな、文化祭」
自分に向かう言葉でもなく、唯空気に溶ける言葉。
まだ、最後だなんて言わない。
「「武蔵森、最高。」」
相互記念小説!
銀太様へ。
この度は、当サイトのリンクを貼っていただき誠に有り難う御座いました。
リクエストの「文化祭」 如何でしょうか?
少しでも気に入るところがあれば、嬉しく思います。
それでは、多大なる感謝の気持ちを込めて・・・
2002/11/10 架月かれん 拝
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