尖ってる心。
誰かの所為にするのは好きじゃないけれど、今回ばかりはアイツが悪い。
だから俺は謝る必要は無いんだ。

それなのに。




SIRIUS RISER
: spring has came to me. but I can't think you.




些細なことから始まった口喧嘩。
彼は俺が他の奴とキスしたことに対して怒ってる。
別に意味のないキスなのに。
よくある、その場のノリで。そんな下らないことで彼は腹を立てたのだ。
相手の奴を怒るならまだしも、何で俺が罵られなきゃいけないんだ。
そんな彼に俺も頭に来て、一発殴った。
見れない顔になったら俺がイヤだから、鳩尾に懇親の一撃。
結構、効いたみたいで、数秒間動けなくなった様子。
そんな彼に対して俺は一言、「バーカ」と残してその場を去った。



あの時、ホントは泣きたかった。
何で？何で俺を疑うの？俺が好きなのはオマエだけなのに。
でもアイツの前で泣くのはイヤだったから、態と足早に歩いた。
帰りの電車の中で思わず号泣した。人目気にせず泣くのなんて初めてだった。



悔しくて、悲しくて、腹が立って。
暫くは俺の方から連絡するのを止めた。
だけどアイツはきっと謝罪の言葉をなかなか言っては来ないだろう。
俺が耐えきれずに電話すると思ってるんだきっと。
そーゆう所が好きだったけど、今はムカついて仕様がない。
携帯を枕元に置きながら充電するのも止めた。
アイツからの電話を待ってるみたいでイヤだったから。いっそ電源切っとこうか。





「翼、何かあった？」
部活終了後、柾輝に言われた。

「やっぱ分かっちゃうか、マサキは。」
「そりゃな。何かキツイし。上の空って感じ？」
「まぁ…ちょっとね。大したことじゃないけど。」
「佐藤だろ？どーせ。携帯の電源切ってるし。」

そこまでバレてたか。
俺はシゲと喧嘩すると必ず携帯の電源を切ってる。
だって、来る可能性が低い電話は待ってるのイヤだし。
待ってる気でいる自分もイヤなんだ。


でも、結局待ってんじゃん？俺。
「マサキ、カラオケ行かない？」
「これから…か？」
「そう、これから。行けないワケ？」
「お供させて頂きますお姫様。」






時刻は午後８時。
いつも行ってるカラオケボックスで盛り上がってた。
知り合いの兄貴が経営してるトコだから帰りは送ってくれるそうだ。
ちょっと下心があるのが気にくわなかったけど、もう何でもイイや。
どうせアイツからの電話はないだろうし。
知らない間に無意識で気にしてる。
こんな自分も本当はイヤなんだ。だけどしょうがない、好きだから。
俺と彼の愛、どっちが強いんだろう。


聞き慣れた着メロが鳴った。先程電源を入れた携帯が胸ポケットで点滅する。
アイツにだけ設定してある、OFF SPRINGの「Have You Ever」。
胸が締め付けられる感覚が襲う。何だ、俺アイツのこと溺愛しちゃってんじゃん。
ちょっと嬌笑しながら決意して携帯を取り出す。

「マサキ、ちょっとゴメン。外で出てくる。」
「おう。そのまま帰ってもいいけど？」





「もしもし？」
『やっと繋がったわもう。今何処におるん？』
「マサキとカラオケ来てる。何、謝罪？」
『冷たいなぁ姫さん。けど、ホンマにゴメン。』
「うん。心狭いからねオマエは。束縛されるのイヤなくせに自分は独占欲強いしさー。
　迷惑っつーか結構ウザイよね。あんなん何の意味も無いって何回言ったっけ？俺。」
『…ホンマにゴメンって。スイマセン、俺が悪いです。』




滅多に非を認めないアイツが謝ったから、取り敢えず今回は許してやろう。
こうして俺達の下らない喧嘩は幕を閉じた。
結構あっけないモンなんだけど、アイツが電話をしてくるまでにはきっと色んな葛藤があったはずだと思いたい。
じゃないと俺の価値が下がる。
付き合った奴の所為で自分の価値を下げるなんて事は絶対に嫌だ。
そこまで振り回されるつもりは無いけど。

『姫さん、今年の春休み空いとる？一緒に旅行とか行かへん？』
「イヤ無理。俺来年受験だし。オマエなんかと遊んでるヒマない。」
『えぇ！！何言うとんの、余裕なんやろ。知っとんねんで。』

余裕なんかじゃない。結構振り回されてるよオマエに。
電話越しに聞く彼の声が愛しくて。
俺は今から彼の元へ向かうと決めた。寒空の中を走るのはキツいけど。
時間を埋めるのには、言葉じゃ足りないんだ。そんなことに今更気付いた。
待ってて。　すぐ追いついて見せるから。

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スイマセンスイマセン。
何か微妙なことばっか書いてます。着メロとか…痛。
マイナァ傾向は音楽趣味でも一緒みたいです。
多分知らないと思うんですけど良い曲なんですよ。
それより、正月に何も関係無いとこがまた痛い…。
こんなんですけど、押しつけちゃいます。
今年もどうぞ宜しくお願いします。






０３０１０６