D I V I N G (辰中)


「っっ・・・〜〜〜」
「あ、ごめん入った?」
「・・・・」

突然背中にかかった重力に辰巳は呻く。
ごめんごめん、と少し軽くなるが体重がかかっているのに代わりはない。

「・・・中西・・・」
「だってノックしても辰巳気付かないんだもん」
「今日はノックしたんだな」
「珍しいね、寝て本読んでるの」

体の傍に手を突いて中西が身を乗り出してくる。枕に立てかけた本を見て字の小ささに顔をしかめた。

「もう寝るとこなんだが」
「それは奇遇、俺もだよ」
「・・・・」

出ていく気はないらしい。
さっき食らったダイビングの名残にむせながら、辰巳は本に栞を挟んで閉じる。

「・・・中西」
「一緒に寝るー」
「部屋帰れ」
「いや」
「・・・・」

大きな溜息に、失礼なとふざけて笑う。

「ね、一緒に寝よう」
「狭い」
「お前この体勢の意味分かってる?」
「・・・・」
「俺が気付いてないとでも思ってた?」

つう、と中西の指が背中を伝う。びくっと辰巳の肩が跳ね上がり、中西は満足げに笑った。

「・・・変なの、お前脇は全然平気なのにね。背中は弱い」
「・・・・」
「ちゃんと辰巳のコト見てんだからね、責任取ってよ」
「・・・どういう理屈だ」
「あんたがここまで沈めたんでしょ?」

どこまで潜っても底がなくて、だからそのうち戻れなくなる。
中西の手が背中を撫で、辰巳が無理矢理起きあがって中西を落とそうとした。しかし僅かに中西が立った方が早い。

「はい、こっち寄って。俺 壁側ね、落ちたらヤダから」
「・・・・」
「それとも俺が上がいい?」
「・・・横で・・・」

飛び込むつもりはなかったのにずるずると引きずられるまま、もう水面は届かない。

 

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