限 り あ る (三笠)


「俺は永遠なんて信じてないんですよ」

この世に限りがないのは数字ぐらいだと俺は思う。三上先輩は興味がなさそうに適当にうんうんと頷いてベッドに潜り込んだ。
ベッドにふたりで眠るのはきつかったはずだけど、知らないうちに慣れてしまった。
そのことに気付いて怖くなる。例えばこの人がいなくなるいつかとかが。

「だから俺たちもずっと一緒にいられるなんて思ってないです」

好きだと素直に思う(言わないけど)。
眠そうにあくびをして、それでも隣に座る俺を見てくれる。

「だから今すぐこの関係が終わっても同じことかなって思って」

例えばもう明日にも死ぬかもしれない俺。

「笠井」

静かな声に名前を呼ばれて目を閉じる。
頬を触られたような気がするけど俺の妄想かもしれない。

「分かったから、寝ろよ」
「分かってないよ」
「夜は限られてんだ、寝ろ」
「寝れない」
「起きてられるのもずっとじゃない」
「でも」
「お前考え出すとキリねーんだよ、朝になっても納得いかなかったらそれから考えろ」
「出来ない、」
「・・・じゃあ別れてやろうか」
「・・・・」
「そしたらお前が悩む理由がなくなるだろ」
「・・・・」
「寝ますか分かれますか」
「・・・限界に挑戦してもいいかなと思うの で寝ます」「可愛くねぇの、分かれたくないからとか言ってみろ」
「言わなくても伝わってるなら不要ですよね?」
「・・・・」
「お休みなさい」
「・・・お休み」

・・・一瞬負かされるかと焦ったじゃんか。
ふたりで布団に潜り込んで、どうせなら長く続けばいいなぁと思ったけど悔しいので言ってやらなかった。

 

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