内 緒 話 (沖→神→銀)


「…だってさぁ、まだガキじゃん」
「と言うことは対象として見てはいるんですねィ」
「ちげーって」

あーもー若いなチクショー。ぼやく銀時に沖田は無表情で視線を送る。今更隠したって無駄なような気もするが、素直に断定する気もない。
────どうして自分の周りにはこう、恋愛に関して長けているというかただれているような人間ばかりなのか。そもそも銀時は普段の生活からしてただれている。真っ当な大人が子どもにたかるはずもない。おまけに目の高さまであるパフェに取りかかるこの姿。土方さんこんな奴に負けたのか。頬にクリームついてるし。
尤も、自分も堂々と甘味処でサボっているがお巡りさんなのだが。「警察官立ち寄り場所」の表示があるから間違いではない。

「何?そんなに俺を捕まえたいわけ?」
「幼女拉致監禁ですかィ」
「してねーから」
「…だってあいつが言ったんでさァ」
「拉致監禁されてるって!?」
「違くて」

わかってて言ってるんじゃないだろうか、この男。何気なく手を伸ばしてウエハースを食べてしまうと本気で悲しそうな顔をされた。信じられない男だ。しかし財布はこちらなので文句は言わせない。

「『私魅力ないアルカ?』なぁんて言ってやしたぜ」
「あー」
「とりあえず胸がないからって言っときやしたけど」
「あーそれは重要。こう、掴んで余るぐらい欲しい」
「…」

それをあいつに求めるのは酷だ。いや、そもそもあいつに求めていないのか。とりあえずその手はやめてほしい。ほんとに逮捕してやろうか。

「ま、好かれてるのは悪い気はしねぇけどな」
「…」
「でも流石に幼女に手ェ出せねぇだろ」
「幼女じゃねぇよ」
「…」
「あいつはちゃんと女だ」

伝票を掴んで立ち上がる。銀時の視線を感じながら外へ出た。

 

思わず拍手したくなる去り際だった。銀時はアイスをすくって口に運ぶ。

(…だぁって、こんな汚い大人になっちゃうと、あいつは仲間だからなんて素面で言えないのよン)

あいつは多分、相手がいないだけだ。手近に対象となる男がいないのだろう。変に大人びているから同じ年頃の男は相手にしていない。
生クリームは幸せの味がする。何気なく窓の外を見ると、沖田が戻って来るのが見えた。考えが及ぶより早く彼は店に入って銀時のそばまで来る。

「な…何?」

まさかほんとに逮捕しに来たんじゃないだろうな。沖田なら有り得る気がしてスプーンを構える。

「いっ…」
「い?」
「今の話ッ、あいつには言うなよ!」
「……」

思わず吹き出してしまうと沖田がかっと顔を赤くした。珍しい表情に笑いが止まらなくなる。

「やっぱり口塞ぐ…!」
「ちょっ、まっ、得物はまずいよしまってしまっ…うおぉいっ!若い子はキレるの早いねオイ、あんまり早いと 嫌われるよ色々と…冗談!冗談!目がマジだよ沖田くん!」

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