持 ち 物 検 査


「笠井!」
「・・・はい、何でしょう」

姿を見るなり真っ直ぐは知ってきた中西に、笠井は呆気にとられて中西を見た。
なにやら必死な様子の中西は笠井の手を取る。

「笠井、」
「はい」
「笠井は俺のこと好きだよね」
「好きですよ」

隣にいたクラスメイトが目を丸くしているが笠井は特に気にしない。
それよりも中西の狼狽えようの方が気になる。一体中西を揺るがす何があったのか。

「ほんとだね、」
「ほんとですよ」
「大好き?」
「大好きです」
「じゃあちょっとだけこれあずかっといてね」
「は?」
「ちょっとだけ、昼休みには取りに来るから」
「え、ちょっ」
「次持ち物検査なんだよ、宜しく」

笠井がそれを確認する間もなく中西は何かを笠井のズボンのポケットに押し込んだ。
最後にぎゅっと笠井に抱きついて、中西はじゃあねと軽く挨拶をしていってしまう。

「・・・何だったんだ今の」
「俺が聞きてーよ・・・」

クラスメイトが落としてしまったノートをゆっくり拾った。
サッカー部ってわかんねェ。呟くのを笠井が笑う。

「中西先輩は特別だって、かわいーんだよあの人」
「俺は怖い噂しか知らない。何渡されたんだ?」
「何だろ・・・」

ノートの類を片手で持ち、笠井はポケットに手を突っ込んでみる。
指先に触れたそれ。嫌な予感がして、引っぱり出さずに指でなぞった。

「笠井?」
「・・・先輩 持ち物検査って言ってた・・・?」
「言ってたな」
「・・・つーか・・・なんで持ち歩いてんのこんなもん・・・」
「何?」
「・・・・・・」

笠井は少し辺りを見回し、誰の姿もないのを確認してポケットを差す。
クラスメイトが手を突っ込んでみて、指先では何か分からないので少し引っ張った。
少し見えて、それを戻す。

「・・・・・・こんどーむ」
「言うな」
「何で?」
「俺が知らないよ〜・・・なんでこんなの預けていくの〜〜?もー・・・」
「・・・なぁ笠井、それ中西先輩と使ったり」
「してません!」
「だ、だよな・・・」
「変なこと考えないでよ・・・」
「・・・中西先輩昼休みに取りにくるって言ってたな」
「言ってたね」
「それって昼休み以降に使うって事か?」
「・・・多分風船とか作って遊んでるんだと思うけど。今日の持ち物検査も多分その所為だよ、この間遊んでるときに見付かったって言ってたから」
「・・・・・・」
「見付からないようにやらないとダメだよね〜」
「・・・・・・」

もしかしてこいつが一番恐ろしいのか?
クラスメイトはポケットに危険物を忍ばせた笠井をじっと見つめた。

 

 

「笠井サンキュ〜!愛してる!」
「はいはい俺も先輩大好きです。でも今度から出来ればやめて下さいこう言うの」
「別に使ってくれてもよかったけど」
「そう言う問題じゃなく」

昼休み回収しにきた中西は笑って笠井に抱きついた。
教室中が見ているので流石に笠井もそれを引き剥がし、早く持ってって下さいと急かす。
中西は笑いながら笠井のポケットからそれを回収した。パッと見不思議な光景に視線が集まる。

「どうもでした。知ってる?三上引っかかったの」
「・・・三上先輩も持ってたんですか」
「こっちは隠してたけどね、MD見付かって。鞄に入れてるの忘れてたみたいでさ〜、没収v」
「うっわ・・・爪が甘いですね」
「もしかしたら2年もやるかもしんないから気を付けなよ〜」
「俺は何も持って・・・・・・」

笠井はゆっくり自分の鞄を見た。
それから中西を見る。

「いや、知らないよ?例えばの話ね」
「・・・ちょっとそこで待ってて下さい」

机に戻り、鞄を引っ張って中西の所へ戻る。
中西も一緒に覗き込み、笠井が内ポケットの奥を探ると・・・出てくる。

「・・・・・・あのタレ目・・・」
「よしよし」
「・・・中西先輩俺のこと好きですか」
「大好きよ」
「じゃあこれを三上先輩の靴の中に突っ込んできて下さい」
「うわ陰険で最高。こいつをかくまってくれたお礼って事で引き受けたげる」
「どうも」

笠井の鞄の中から出てきたそれも中西は一緒にポケットに押し込んだ。
予鈴が鳴り、中西は笠井に手を振ってそこを離れる。

「・・・サッカー部変な遊びやめようよ・・・」
「俺は遊んでないもん」
「・・・・・・」

直接手は汚さない主義だから。
さらりと言ってのける笠井に、中西より強力な奴がいるんじゃないかとサッカー部以外の生徒は気付き始める。

 

 


・・・なんかちょっと違う話になったけどまぁいいか。
もうちょっと真面目にやってる話をかきたかったのですが。でも持ち物検査なんてやられたことないからわかんないけど。

040723

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送