ろ く で な し


「あっ、待ってッ…あぁっ!」

ぐんと突き上げられて、体の震えと共に快感が全身を走り抜ける。シーツにすがって耐えようにも、容赦のない刺激に理性を奪われた。

「笠井ッ…」
「あ…っ!」

 

 

ふと目を開けると時計が目に入る。0:03、年は明けたばかり、カウントダウンは聞けなかった。

「……あ〜…」

またやっちゃった。隣で眠る三上を見て笠井は溜息をついた。去年は二年参りと言って大晦日に会い、そのまま成り行きでこうなった。今年は家で正月をと思っていたのに、結局三上と会ってやはりなし崩しにこうだ。

(…二度あることは?)

あんまり考えたくないことだ。────三上が高等部へ上がって、自分もあと数ヶ月すれば高等部へ進学することになる。…まだ迷っていた。このまま進学していいのか。先輩達が抜けて最高学年になったとき、笠井はプロを夢見るのを断ち切った。それまでは僅かに、ささやかに思っていたのだ。淡い淡い夢。
サッカーはしたい。先輩達も待っていてくれているし、役に立てる自信はある。だけどそれは三上の傍にいたいがための言い訳じゃないのか?そんなことが脳裏をよぎって以来ずっと考えていた。

(…このままでいいはずがない)

三上の肩まで布団を引っ張り上げ、自分も隣に潜り込む。こんなろくでもない男に、ずっと人生を任せていくつもりだろうか。…こんなろくでもない男なのに、三上はいつまで笠井と付き合う気なのだろうか。考え出すとキリがない。

「笠井?」
「あ…」

ぎゅっと腕が巻き付いてくる。しばらく緊張する体を抑えて三上を見たが、どうも寝ぼけて呼んだだけらしい。
バカな人。泣きたくなる。

「…初詣、行きましょうね」

返事はあるはずがない体をすりよせて目を閉じた。

 

 

笠井の寝息が聞こえ始めて、三上はゆっくり目を開けた。笠井の顔を見ずに緩く抱きしめる。

「…初詣なんか行って、どうすんだ」

どうせ神だってろくでなし。自分も寝ようと頭を抱いた。それを見計らったかのように笠井の携帯が鳴りだし、寝ていたはずの笠井が起き上がってとっさに顔をそらした。笠井が手を伸ばして携帯を掴む。

『 あ け お め ー ! 』
「…うん…たんじょーびおめでとー…」
(……藤代〜〜…)

幸先悪ィ。寝ているふりで笠井がベッドを出るのを見送った。

 

 


若干「やはり」とリンク。

060109

 

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