上 を 向 い て
「そう言えば中等部は今日退寮だよ」
「・・・そうなん?」
「そうなんってアンタねー、かーわいい後輩が中等部を離れるのよ?」
「それはつまりあのやかましい犬がまた入ってくるっつーことだろ」
「折角可愛い三上の天下だったのに?」
「言うな・・・」嫌がる三上を中西が笑う。
やたらと人に構いたがる先輩がやっと卒業してくれたのだ、思い出したくもない。「太田先輩も三上の何処がよかったんだろうねェ」
ふわん、としゃぼん玉が飛んだ。
外部へ進学したはずの根岸が遊びに来て、屋上で自作のしゃぼん玉に興じている。
中西はそれを笑ってみていた。温かい気温のお陰かみんな何となく機嫌がいい。「何ゆってんの、俺サイコーじゃん」
「ハイハイ」
「つーか俺 中西に構われる辰巳の気持ちちょっと分かったし」
「ありえなーい、それはつまり三上が先輩のこと好きってことになるのよ」
「自意識過剰」
「事実でしてよ」
「何の真似だ」ぽかぽかと暖かい屋上。
何となく眠くなってくるのを起こし、三上は携帯を手にする。ぺけぺけとメールを送信。「どちらへ?」
「卒業生にデートのお誘い」
「抜けられるかなー笠井キャプテン。いっつもスムーズに行かないからねェ」
「そこは俺への愛で」
「ハイハイ。 ネギっちゃん笠井達と一緒にウチに入学しない?」
「えー・・・三上の後輩とか絶対ヤダ」
「精神年齢低い奴が何言ってんだよ、しゃぼん玉とか有り得ねェ」
「いーじゃん綺麗だろー」くるくると回りながら上昇し、泡はパッと弾けて消える。悲しい歌を思い出した。
「・・・っちゅーか、マジな話あいつら入ってくるなら今まで以上に頑張らないとヤバくね?」
「三上とか三上とかがね、しゃぼん玉のような運命」
「怖いこと言うな・・・」
「水野入って来るってv」
「やっぱりなー・・・」虹の世界に空が映る。
人も家も木々も電柱も、空までも取り込んでくるくる、くるくる。
根岸の持つストローからしゃぼんが旅立っていく。
「・・・中西」
「んー?」
「しゃぼん玉みてェに簡単に消えてやらねェよ」
「まっ、自信家」楽しみにしてる、
中西が笑ったのと同時に携帯に返信があった。「なんて?」
「そりゃ愛されてますから?飛んで来るってよ」迎えに来てくれるなら行ってあげますよ、なんてメールに返事は返さず三上は立ち上がる。
三笠オンリの無料配布。
強引にお題にしたので微妙(て言うか全然)に沿ってません。040430
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