空は見事に冬模様今何をしているのかと考えていると窓の外の重たい空気の下で彼女がスキップしそうな勢いで歩いていたので思わず外に飛び出しオイ!と声を掛けた


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「やぁ三上」
「・・・やぁじゃねーよ・・・お前こんな時間に何してんの?」
「えーっと」

もう日も傾き始めた時間帯、グッと気温も下がるというのに上着も着ずに歩いていたのは一応彼女。
引き止めても寒そうな素振りは見せない。

「えーっと」
「・・・何」
「何だっけ?」
「・・・ハァ・・・」

天然とでも言えばいいのか。
年がら年中この調子。
忘れないことと言えばお菓子を食べることぐらいだろう。

「あぁ、みかん」
「・・・みかん?」
「みかんを買いに行こうと思ったの」
「・・・何で急に」
「おこたを出してもらったのさ」

何故か俺にVサインを突きつけて。
何でそんなに偉そうなのか。

「・・・こたつ?」
「そう!!」

寒いのか寒くないのかどっちかにしてほしい。
そう言えば中西が居なかった。コイツと同室の彼女のトコにこたつ出しに行ってたのか。帝王がザマァねぇ。

「おこたでみかーん!!」
「・・・どうでも良いけどお前寒くねぇの?」
「・・・・・・」

一応聞いてやると一瞬眉間にしわを寄せ、ぶるっと肩を震わせた。
溜息。

「そう言えば寒い」
「アホかお前は!」
「失敬な。みかんに気を取られてて忘れてた」
「・・・ここで待ってろ」

・・・何かましな上着あるだろうかと考えて、まずサイズが合わないことに気付く。
偏食極めたアイツは小学生かと言いたくなる体型だ。
2年だってのに中西にも渋沢にも敬称つけないアホ女。
・・・早く戻ろう、玄関まで入れてやりゃよかった。
まいったな。

適当に羽織るものを持って戻る途中根岸に会う。
未だ制服のままだ。また汚しても知らねぇぞ。
・・・そういえば。

「根岸」
「んー?何」

パタパタと根岸が近寄ってくる。
警戒心というものはコイツの中にないらしい。若しくは学習すると言うことが。
3年間しっかり着込んだブレザーの裾を捕まえて、ポケットに中に手を突っ込んだ。
少し熱いぐらいの。

「カイロ借りる」
「あぁっ!俺それないと指先死ぬのに!」

ムシ。




「ほら」
「・・・ありがとー」

一瞬驚いた顔をして、大人しく差し出した上着を掴んだ。
もたもたと着るのを待ってカイロも渡す。
・・・やっぱりでかい。服に着られてやがる。

「じゃあ」
「待てよ」
「えー?」
「・・・俺も行くから」
「・・・そっかぁ」

にへらと笑ったのが妙にカチンときて、ぎゅうと頬を摘んでやった。
よく伸びる。頬袋?

「いひゃいー!!」



「三上も来るー?中西が焼き芋持ってきたのー、あと甘栗ー!」
「食い過ぎ」
「アタシ栗剥けないんだよ」
「・・・剥けと?」






嗚呼あの三上亮がとんだ小娘に引っ掛かったものよ泣かない奴を泣かせまいと笑ってる奴を笑わせようと無償の行為でほのかに心の芯の部分を熱くして手を伸ばすのにも躊躇して

冬空の痛い空気さえ緩和させ只小さな事に微笑む君をどうして思わずにいられよう何て陳腐な自分の感情が誤作動してないかどうかと疑ってみたりそんな全てが君のパワー

 

 


凄い感覚的に。
ヘタレ三上強調。

021201

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