「サンタ信じてた?」
「・・・何で?」
「サンタ」
「・・・信じてたっつーか、そもそもうちの親隠さなかったし」
「・・・それはつまらないね」

きゅっと眉を寄せたのが可愛く見えた。


嘘 と 嘘


「お前は信じてたって感じだよな」
「てゆーかサンタは居るよ!」
「・・・藤代と同じ事言いやがって」

本家にはいる、と言う主張だ。
只それはいるだけであって、実際はプレゼントを配らないし空を飛ばない。

「今日は帰ってからケーキ焼くんだ」
「うっわ・・・」
「砂糖菓子のサンタを買ってきたんだよ、この間」
「不味そう」
「美味しいよー、アタシは好きだなぁ」
「・・・・・・」

「・・・あ。あのね、渋沢がパーティやろうって言ってたの。三上も来る?」

束縛したくない。

それが一番思ってることだった。
三上は俯いて顔をしかめる。
だけど直ぐに顔を覗き込んできたにそれを見られないように、いつもみたいに笑顔を作った。

「俺クラスの奴らに誘われててさ」
「ふーん、そっかー。折角ケーキあげようと思ったのに」
「いらねっつの」



サンタが居るというのは吐いても良い嘘だ。

父親がそう言った気がする。
ならばその嘘を吐き通していて欲しかった。
今ではそんなこと思わないが、昔は強くそう思った。

礼儀みたいに、朝起きれば枕元にプレゼント。



「・・・何腐ってんの?」
「ほっとけ」
「なっかにしセンパーイv遊びに行こッ」
「うん行くー」

ちょっと待ってねと彼女に声を掛けて、中西は談話室に入っていった。
面白くなさそうなテレビをつけて、三上がテレビを見ずに雑誌をパラパラとやっている。

「パーティやるんじゃないの?」
「らしいな」
「・・・行かないの?」
「行かない」

そのまま何も言わずに中西は部屋を出ていく。
マフラーがなかなか上手く巻けないようで苦戦していた。


呟いて又雑誌に戻る。



嘘だ
約束があるなんて当たり前に嘘だった。

他の誰かと笑っているのを見たくなかった。
だけど束縛したくなかった。

だからこれは、吐いても良い嘘だ。
そう思った。



「みーかみっ」
「・・・何でお前ここにいんの」



女子寮の方でばれないようにひっそり、と言ってたはずだ。
勿論ひっそりなど無理だろうけど。

がそこに立って、三上を見ている。
は彼女だ。
付き合ってるけど

「うーんと、何となく」
「・・・何となくじゃねーよ。パーティは?」
「やめた」
「・・・何で」
「サンタが居ないから」

・・・よく判らなかった。

好きだ好きだ好きなんだ
衝動的に言いたくなった。言わない。

「あ、ケーキ食べる?」
「食べない・・・」
「すっごいキレイに焼けたんだよ!いちごもキレイだし!」
「甘いモン嫌いだって言ってんじゃん」

自分とは対照的に甘い物の好きな彼女。
ベジタリアンな偏食家。
運動は好きじゃないと言うけど水泳は得意。
彼女は何も嘘を吐かない。

「じゃん」
「・・・2分の1じゃねーか」
「半分こ!」
「食えるか!」

手にした箱の中身は、彼女が作ったらしいケーキ。
ワンホールの残り半分は藤代やら渋沢行きだったんだろう。

「一口だけでも」



「甘い」



「・・・ケーキは甘いモンだよ」
「だから甘いっつってんの」
「美味しい?」
「多分な」
「・・・つまんない」

つまんないと言うときのその顔が好きだった。
ぷくっと頬を膨らませて。

「・・・お前なんか今日変」
「そう?」
「変」
「三上も変だよ」
「・・・・・・」

困って目をそらす。
ソファの隣に座っていたが座り直した。

「あのね」



「・・・どうしようかな」
「何だよ」
「えー・・・どうしよう」
「だから何」
「・・・マフラー編んだ」



つまらなかったテレビを消した。
見ていた訳じゃなかったから。
フッと談話室が静かになって、どうして空なんだろうと考える。
今日はクリスマスイブだ。
何故か盛り上がる前日。

「・・・それはクリスマスプレゼント?」
「そう」
「・・・俺に?」
「要らない?」

そんなわけない。

「頂戴」
「・・・忘れてきた」
「・・・・・・」



「嘘」
「え?」
「ホントは嘘」
「・・・・・・」
「まだちょっとだけ編めてない」
「・・・・・・」
「だから明日ね」
「・・・じゃあサンタみたいに、枕元おいとけよ」
「三上どうせ昼間で寝てるからそれなら編める」
「ごめんなさいねー」







「何?」
「好き」



何が嘘でもそれだけはホント。

 

 


・・・アタシの中で文章革命でも起こったんだろうかというような文章。
普段の雰囲気を捨て去ってこんな事に。

取り敢えず三上はが好きなんです。
夢と言うよりは少女漫画を書く心境。

20021224

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