ー、ノートありがと!!」

がノートを押しつけた。

「いっ・・・」


眠 り  の 悪 夢


「・・・アレ? ?」
「イタ・・・」
「ごめん、アタシ力強かった?」
「んーそうじゃないけどね、・・・成長痛」
「・・・あー、ゴメン、胸張ってる?」
「イタイっス」
「生理前かぁ。まぁ堪えろ、胸でかくなってんだし!アンタ充分でかいけど!」
「でなくないよ・・・アンタに言われると腹立つ・・・」

ブラきつくなったとか言ってたのは何処のどいつだこのヤロウ。
・・・ああ・・・しかしこの痛みは辛い。
体育で走るとか自殺行為だよ。生理じゃないから休めないし・・・いや・・・コレも生理痛かな・・・。
生理の予兆。うーん・・・そろそろか・・・。

「あ、そうだ。、図書室当番回ってきてるよ」
「えぇっ!?何かサイクル早くない!?」
「2年が臨海だからねぇ」
「うっわ。めんど・・・」
「図書委員 今アンタしかいないっしょ?」
「うん・・・大橋が引っ越したからね・・・」

どうも外国へ消えたらしい。国外逃亡か(違)。寮なんだから残ってりゃいいのにさ・・・畜生・・・。
まあ良いんだけどね、アイツキモかったから(エ?)

一緒やる気ない?」
「アタシ購買v」
「あーあ・・・先生決めるって言ってたのに未だかなぁ・・・」
「・・・あれ・・・でもさぁ、今何もやってなくて図書委員っぽいのって」

図書委員っぽいって何だよ。暗いってか?

「辰巳君ぐらいじゃない?」




・・・の勘って当たるんだよね・・・。

「まぁ・・・仮なんだけど・・・俺放課後は出来ないから昼休みやるから」
「あ、うん。十分助かる。まぁ図書委員っつってもカウンターで本でも読んでりゃ終わるし」

ちょっと久し振りに話をした。教室じゃ話しかける機会なんかないからなぁ。
借りた本はソッコーで読んで返しちゃったし、辰巳君も読むの早くて直ぐ帰って来しなぁ。
それから話らしい話してなかったかな。


「・・・なんかさぁ、アンタと辰巳君って仲良い?この間も本貸したり借りたりしてたしさぁ」
「え、別にそーゆーわけじゃ。・・・アタシと仲良いとかって辰巳君に失礼でしょ」
「ふーん?まぁいいけどさぁ、・・・辰巳君てちょっと怖くない?」
「アレ?夏織の好みは背の高い人じゃなかった?」
「デカすぎっ!! ・・・それにやっぱねー、あんな噂あると」

あんな噂。

辰巳君が他校の人に怪我させた

って言う根拠も何もない噂。何処から流れたのやら。
・・・まぁ・・・気になるけどさ・・・・・・。まさか直接聞けないし、ねぇ?

「ま、一緒に仕事する訳じゃないしは無事か!」
「何がよ・・・」

ああ、アンタがそんなんだからアタシは言えないんじゃないか。

「・・・ところであんたの好きな人って聞いたことないよね?」

その噂の辰巳君だよ、悪いか畜生・・・。




5時間目。
─────あの・・・辰巳君が居ません・・・・・・・・・・・・。
何でッ!?うう・・・どうしたんだろう・・・。他校に呼び出されたとかよくわからん噂早速流れるし・・・
更に6時間目も彼は現れなかった。
何でーッ!?




結局辰巳君は行方不明のまま放課後・・・・・・。
何故だ・・・誘拐?・・・あの長身をさらえるのはどんな巨漢だ・・・。
う、宇宙人に・・・!うっわ一番セン薄!
只単にサボり・・・でも今までそんなコトなかったしなぁ?

「失礼しまーす。図書室の鍵取りに来ましたー」
「アナタ当番?」
「ハイ」

図書司書の先生だ。
うーん・・・アタシこの人苦手なんだけどな・・・・・・本棚整理させられたし。

「昼休み鍵開けっ放しだったでしょう」
「え?」
「ちゃんとやって貰わないと困るわ。ハイ、放課後は気をつけて」
「え・・・あ、失礼しました」

・・・?昼休みは辰巳君が・・・。
えーと、昼休みは図書室開くには開いたわけだね、だけど開けっ放しだった、と。
辰巳君はそんなコトする人じゃないと思うし・・・。
・・・その間に辰巳君は拉致されて・・・って本の読み過ぎかぁ。だいたい昼休みは利用者多いしなぁ・・・。



ガチン、と固い錠を外して暗い図書室に入った。
放課後の利用者はなしと見てほぼ間違いない。高等部だったら知らないけどさ。昼休みは単に、冷暖房完備だから人が多いだけ。
───あー・・・クソ、腰重いなぁ・・・今夜当たり来そうだ。ヤダなぁホント。血嫌いなんだよ。グロいじゃんアレ。

壁のスイッチを探して電気を点ける。この間辰巳君と揃えた本棚は綺麗なままだった。
何でだろう、図鑑とか入ってるわけじゃないから荒れても不思議じゃないんだけど・・・イヤ、不自然すぎるでしょコレ。
誰かが直した?・・・って辰巳君しか思いあたんないしなぁ・・・・・・ってアタシ今日一日中辰巳君のこと考えてるじゃん!!
あーもうっ、何処行ったのよあの人は!!

「  」

・・・え?・・・人の声したよな、今・・・。
・・・・・・・・まさか。
まさかまさかまさか。

おそるおそる本棚の奥へ向かう。

・・・・・・居た。

いつものスペースに、彼が。
机の上に突っ伏して、・・・寝てるんだろうなアレは・・・。

「・・・た・・・・・・・・・辰巳君・・・?」
「ん・・・」

辰巳君がもぞもぞ動いて時計を見る。
流石というか何というか。寝癖ひとつついてない。

「後5分したら起こしてくれ」
「えっ」

オイオイオイ!!又寝るのっ!?
・・・ちょっと待ってよ、この人5・6時間目寝てたわけ?
オォイ・・・どうしろと・・・・・・。
助かったことに、5分待たずに辰巳君が顔を上げた。

「・・・?」
「え、ハ、ハイ。そうですが」
「・・・・・・あ。・・・あ・・・あぁー・・・」

うわっ辰巳君が壊れてる!寝過ぎたんだ!!
時計を見て辰巳君が再び机に崩れた。

「しまった」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫だ・・・」
「・・・何があったんですか・・・?」

「・・・昼休み・・・俺がカウンターに座ってたら三上やら中西やらが茶化しに来て、本借りにくそうだったんで取り敢えずここに移動して・・・」
「・・・うん」

確かにあの二人が居ちゃ近寄りにくいわな。
良い意味でも悪い意味でも。おまけに+辰巳君。

「三上達は移動だからって先に帰ったんだが・・・」
「うん」
「・・・で・・・・・・ドッと疲れて・・・」
「・・・寝てたんですか?」
「ほんと数分だ。・・・起きたら鍵が閉まってて出るに出れなくてな・・・」
「ここ死角だもんねー・・・」
「・・・多分・・・寝起きだったから寝惚けてたのもあって・・・又寝たんだと思う」

辰巳君でも寝惚けるんですか・・・って思い切り偏見か。

「でもまぁそれは先生が悪いよ」
「そうとも言い切れないけどな。・・・しかしよく寝た・・・」
「そりゃ2時間も寝ればスッキリするよ」
「2時間・・・あぁ・・・そうなるか・・・。5・6時間目家庭科だったな、イイか」
「アハハいいんだ」
「・・・流石に部活はサボるわけにはいかないから行くか・・・」
「大変だねー。頑張って」

・・・ああ、何かフラフラしてますよ、大丈夫?
寝過ぎよアンタ。

「・・・さぁて・・・今日は人来るかなぁ・・・」








「おいサボりー」
「・・・サボってないだろ」

もう部活は終了時刻。
時間に遅れた辰巳は外周を言い渡されていた。三上が茶化すためについてくる。

「午後何やってたんだよ」
「・・・寝てた」
「寝てたぁ?何処で。屋上じゃないよな、俺居たし」
「・・・どっちがサボりだ・・・。図書室だ、先生が気付かなくて鍵閉めて」
「いやーん軟禁?」

辰巳に体当たりする勢いで中西も加わってくる。
一瞬よろけた辰巳の斜め後ろで流石に転けないか、と中西が不穏なことを呟いた。

「そっかー、図書室ってテがあるな、静かだしクーラー入るしv」
「三上は教室でも寝てんじゃん」
「・・・何でクラス違うのに中西が知ってんだよ」
「それは企業秘密ですv 辰巳は最近寝不足でしょ」
「・・・何で知ってるんだ」
「だから企業秘密だって。読み出すと止めらんないんだからさ、夜 本読むの止めなよ。まぁ部屋ひとりだから暇だろうけどねー」

辰巳と同室だった元ルームメイトは、とうの昔にサッカー部をやめていた。
そのままひとり部屋状態で辰巳は持ち上がっている。

「だから俺ひとり部屋でいいつってんだろー、いつでも替わってやるよ」
「三上をひとり部屋にするのは危険だろ・・・」
「危険だねぇ」
「お前等揃いも揃って・・・」
「アレ」

中西が足を止めたので二人もつられて足を止めた。


「図書室未だ電気点いてるよ」








「・・・
「・・・・・・うわっ!!辰巳君ッ!!?」

うわっびっくりした!
夢で呼ばれたなと思ったけどマジだったよ、あーびっくりした・・・。
・・・顔を上げたらそこには辰巳君、部活のままなのかジャージ姿だ。

「・・・寝るの好きだな・・・」
「え?・・・あっ!終了時間過ぎてるっ!?」
「まだ電気点いてたから来てみれば」

どうやらサッカー部も終了の模様。
着替えては居ないけど辰巳君のバッグがそこにある。

「アハハ・・・アタシも閉じこめられるところだった。あぶねー」
「・・・嫌味か?」
「いやまさか」

笑いながら立ち上がって大きくのびをした。
辰巳君じゃないけど寝過ぎたよ・・・

「・・・部活のまま来たの?」
「あ・・・いや、そのまま帰ろうと思ってたし」
「そっかぁ・・・イイヒトだね、辰巳君は。ごめんねーわざわざ」
「いや、─────ちょっと、ゴメン」
「ほ?」

うわっ何事!?
後ろから腰にタオルが回される。

「持って・・・」
「え、うん?」

タオルの端を渡されて、訳が分からないまま持つ。
何?

「あー・・・その・・・」
「・・・!! ちょっちょっ、ちょっとイイッ!?考えさせて!!」

ま、まてよまてよまてよ!?

「─────スカート?」
「・・・・・・」

うわぁー───っっっ!!!ちょと待てー───!!!?
ひょっとして、血っ、付いてる!?
うぎゃあぁぁぁぁ!!!恥ずかしすぎて死ぬ!死ねる!!

「・・・保健室・・・で・・・いいのか?」
「え?」
「・・・落としたらごめん」
「わッ」

わ、ちょい待ち!
極々自然に辰巳君がアタシを抱き上げた。
抱き上げやがった!しかもお姫様抱っこで!!」

「そっ・・・そんなに重くないですっ!」
「いやそうじゃなくてな・・・」
「・・・あ」

赤。

・・・ごめんよ辰巳君。多分一番パニクってんのはアナタよね。
ごめん。ほんとゴメン。ありがとう。
畜生大好き。






「・・・ちゃーん。又アンタなの?」
「ハイちゃんです。またアタイです」
「しかも今回はえっらい素敵に登場してくれたわね」
「うわーん先生の意地悪!!」

前にも1度やった女、
アタシのお陰で保健室に常備されるようになったとの噂の染み抜き。
・・・ああもう、先生大好き。

「辰巳君格好イイじゃない」
「あ、辰巳君は?」
「着替えに行った」
「・・・・・・あああ申し訳ない上恥ずかしすぎて顔合わせらんないぃぃぃ!!!」

男子に!
しかも好きな人に!!

「死んでやるッ」
「やめんかバカ娘。お礼は?」
「・・・言ってません・・・」
「ならば言ってから死にたまえ。 ハイ染み抜き完了!!」
「うわーん先生大好きぃぃ」
「アタシはレズっ気ないわよ。渋沢君のような男が好みなの。 ガキはとっとと帰んなさい」

ああもうホントに申し訳ない。
泣きそ・・・

「ってコラコラ、マジで泣かないの」
「だって〜・・・」
「よしよし。気持ちはよく判るけどね」
「もうアタシ最悪〜・・・・・・しかも好きな人なのに」
「・・・あーあ。しゃーない、先生は乙女の味方だ。辰巳には悪いけど先生が送ってやろう」

鞄取ってくるよ、と先生がアタシのクラスを確認して保健室を出ていく。
ひとり残されて涙を拭いて、のそのそとスカートを履く。
履いていたジャージを脱ぐ気にはならない。

撃沈。
最悪・・・また泣けてきた。

・・・」

うわっ本人やめろっ!!
立ち直れなかったらアンタの所為よ!?

「・・・大丈夫か?」
「・・・うん・・・ごめんねありがとう・・・」

うっわアタシすげぇ態度悪い・・・。

「・・・優しいよね辰巳君は」
「え」

あー・・・もう優しすぎだよ。
・・・・・・あ。
・・・・・・・・・

「・・・あの、聞いてイイ?」
「・・・何だ?」
「あの・・・ね、辰巳君の噂・・・何だけど・・・知ってる?」
「・・・他校のヤツっての?」
「う、うん・・・」
「・・・・・・」

辰巳君は大きく溜息を吐いた。
うぅ、やっぱデマか。アタシ最悪・・・

「・・・まぁ・・・ホント・・・かな」
「え?」
「どんな風に噂が流れてるのか知らないが。・・・試合中の・・・事故だ」
「・・・・・・」
「まぁ俺の判断ミスでもあるのかもな」
「えっ・・・」

そ、そりゃ確かに『他校の生徒に怪我させた』だけど!!
噂のまんま聞くと喧嘩っぽくないか!?

「まぁその怪我が怪我だから」
「・・・・・・」
「・・・蹴り上げて、頭だったし」
「───あっごめん・・・こんな事聞いて」
「いや・・・全部が全部嘘でもないしな」

────あぁ、もうホント。
この人は優しすぎる。



ー、帰る支度はイイかー。 ・・・あ、辰巳、アタシ コイツ送るからあんたは帰ってイイよ。門限あるだろ」
「そうですか」
「あっ・・・あ、辰巳君ありがとう!!」


「───また明日な」




──────・・・畜生。


大好き。

 

 


怪我した他校生はシゲ子さんですよ。え?懐かしい話を持ち出すな?
黙れ、アタシのバイブルは2・3巻だ。
・・・実際の試合って怪我するモンなんスかねー・・・見当つかん。

020806

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送