そんなわけでなし崩し。
どうもハッキリ思い出せないのは何故だか知らない。
2度目の体育祭の頃には、アイツの口からつまらないというのを聞かないようになっていたと思う。
体のイイおもちゃ代わりだったとしてもよかった。
自分が哀れで泣けてくる。
正面切って言ってやることは2度とない気がしてるが
取り敢えず今は好きでいる。
L e t ' s m a k e l o v e ! 3
「三上ー、大掃除はどう?」
「絶不調!」
「アッハッハ頑張れー!」
寮内イチ持ち物だらけの男はさっさと大掃除を済ませたらしい。
年末お馴染み大掃除、松葉寮ではこの日、と決められていて終わらなければその日の夕食はない。
去年ギリギリだったんだよなぁ・・・藤代は結局コンビニまで走ってたけど。2年連続なるか。
「お前どうやって片付けしてんだよ」
「世の中にはネットオークションというモノがあるのです」
ありがたやと中西が手を合わせた。
つまり前々からボチボチ処分していたと。
俺のパソコンで!?
「それに俺もう辰巳以外の人からもらったモノ使う気にならないしねぇv」
「・・・惚気るぐらいなら手伝え」
「ヤダよー、俺はこれから辰巳の所に邪魔しに行くのv」
「邪魔と言い切るか・・・」
「あ、そうそう。コレあげるよ」
中西が渡したのは1枚の写真。
「大掃除してたら出てきたんだ、俺はもう要らないからねv」
「・・・俺だってこんなの要るかっての」
「またまたぁv夜のお供にドウゾ」
「使えるかっての!」
「何がですか?」
「あ、笠井」
反射的に写真を後ろの回す。
明らかに不審そうな目で見られた。
「笠井も大掃除終わったの?」
「まぁ大体は。恐ろしいですね大掃除」
「怖いよねー、でも俺はでっかい蛾の死骸が出てきたときの大森が一番怖かったと思うよ」
「さっきの騒ぎはソレか・・・」
「まぁあの大きさは反則だったね」
「間宮の部屋の前もなかなか怖かったですよ。大掃除中だからって部屋の中空っぽにしてるらしくて、廊下に水槽積んでありました」
「・・・・・・」
「あ、蓋はしてありましたけど」
「そう言う問題か・・・?」
「結構可愛かったです」
「そう?見てこようかなぁ」
「お前等の美的感覚を俺は疑う」
しかし渋沢は恐怖だろうな。
間宮の部屋の前通らねぇと戻ってこれ
ぎやああああああ!!!!!!
「・・・キャプテン・・・」
笠井が手を合わせた。
藤代の片付けに手伝いに行ったのが運の尽きだったな。
「・・・俺とかげって言うか渋沢見てくる!」
「行ってこい」
心底楽しそうな中西を見送る。
ちょっと気を抜いたせいか、笠井が素早く写真を引き抜いた。
「あ゛ッ!」
「うわー、何コレ。懐かしー。去年の体育祭の写真じゃないですか」
「・・・・・・」
何となくバツが悪い。
言ってみれば俺は笠井本人よりも先に写真の方に惚れてる。
「どうかしました?」
「イヤ?」
「うわー、すっごい顔。最悪」
「何で?可愛いじゃん」
「何処がですか」
そう言って苦笑する。
写真と同じ系統の笑顔だ。
「あ、そうだ。先輩今年は実家帰りますか?」
「正月は帰るよ、貰うモン貰いに毎年恒例親戚巡り」
「じゃあ住所聞いていいですか、年賀状」
「あぁ・・・そんなモンあったな・・・」
基本的に書く気がないから忘れてた。
また今年も来たヤツに返すか。
「・・・実家ってコトは関西の方帰っちゃうんですよね」
「まぁな」
「・・・帰ってくるの、いつになります?」
「んー?さぁ。何で?」
「・・・・・・何でもないです。俺今年は中西先輩と2年参り行くんですよv」
「はっ!?ちょっと待て!」
「だって先輩居ないし」
「何で中西!」
「イヤ辰巳先輩も実家帰っちゃうんですって。俺も中西先輩も家東京だから」
「・・・・・・」
「何か拗ねてるー」
「拗ねてませーん」
笠井がクスクスと肩を震わせた。
わざとやってやがる。
「新宿行くんで先輩も来れたらドウゾ」
「行けるかっての。つかそんなとこで2年参りすんの?圧死するぞ?」
「大丈夫ですよー、中西先輩居ますから」
「・・・・」
根拠がないのに何故か説得力が。
「あ、取り敢えず俺部屋戻りますね。誠二自分のモノと俺のモノの判断が付かないんで」
「バカかアイツは・・・」
「それじゃ、夕食で会えたら」
「終わるっての!」
多かれ少なかれ、アイツの変化に俺が関わってるなら
それだけで良いと思う。
思うのに
・・・兄貴正月帰るかな・・・
帰らないなら宿借りよう
埼玉の大学に来てる兄貴は結構近くに住んでいる。
家には2日から帰って
収入減るけど
バカみたいに滑稽な自分に苦笑して、たった今思い付いた計画実行のために兄貴に電話した。
「・・・あ、写真持ってかれた」
ギャグタッチに豹変。
笠井性格変わりすぎ。021226
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