鳴りやまない電話のコールと

絡んでくる貴方の声とは

全く別のモノではあるんだよ

だけど受けたくないのはどっちも同じ


ぼ く の な つ や す み   1


中3最後の夏だ。

とは言えうちはエスカレーター、受験だ夏期講習だなんて世界とは離れてこの間は部活の合宿にも行ってきた。
3年は一応引退と言うことになっているので自由参加。
始めは面倒だからと思ったけど、それでも行ったのは笠井が居たから。
いや自分でもキモイのは承知だ。ほっとけ。
合宿が終わればしばらく休み、寮は空っぽになる。

・・・なぁ、なのに何でだ笠井。
どうしてお前の携帯に掛けたのに、俺の鞄の中から着メロが?

「ピロピロうっさい!」

ドンと壁の向こうから衝撃があり、仕方なく携帯を切る。鞄のどこかで音が消えた。
帰ってきてからまだ開けてない鞄を開けてみる。
少し探って出てきたのは、確かに笠井の携帯だった。有り得ないことをしないで欲しい。
当然犯人は笠井だろうが、意味と理由を聞こうにも肝心の携帯がこんな所に。
自宅の電話番号は知らない。と言うか俺は笠井の親に嫌われてるらしいので繋いでくれないだろう。

・・・一番考えたくない案としては休み中連絡をとるなと直球ストレート。
俺としてはうっかり俺の荷物に潜りこんでしまったと言うミスボール希望。 だけど物凄く前者な気がする。
俺何か悪いことしましたか。・・・あ、駄目だしすぎてる。
基本的に放任主義なうちだから夏休み泊りにこないかと思ったのに。
・・・・・・

「おかんーッおとんはッ!?」
「お庭じゃない?」

階段に向かって叫ぶとすぐに声が返ってくる。
俺のように怒鳴ってないのにちゃんと聞こえてくるのは三上家七不思議のひとつだ。

「おとんがいいって言ったら俺東京帰ってもいー?」
「あらどうして!昨日帰ってきたばかりなのに」
「ええやんか別に!」
「うっさいっつってんの!」
「ぎゃっ」

隣の部屋から鬼が出てきて部屋のドアを慌てて閉める。
くそ、荒れてんな京。

「もー亮なんかさっさと東京にでも母星にでも返しちゃえばいいじゃん!」
「えぇ〜、でもアキちゃん滅多に会えないのに〜!」
「どーでもいいじゃんかアキなんて!」

くそ、ボロクソ言ってっし。
窓から外を覗くと親父が居る。このクソ暑いのに趣味の畑いじりだ。

「おとん!」
「ん?」
「上だようーえー!」
「お、亮どうした」
「俺東京帰るー!」
「え〜っ!?映画行こうって言ったやん」
「帰るー!つか今すぐ帰る!」

 

 

 

・・・んで・・・俺はこの所持金有り得ねェ・・・
新幹線はムリ、バスは席がない、どうする。
あー、やっぱ親にカンパ貰ってくりゃよかった・・・半家出状態で飛び出して最寄り駅。

「アキ?」
「あ?・・・なんやノリックか」

声を掛けられて振り返れば幼なじみ。
久しぶりに見るが、何も変わってないように思う。

「何してんねん、帰って来とったんやな」
「あー、帰ったは帰ったんやけどちょお問題発生」
「ふーん、どっか行くん?」
「東京ー・・・ノリック金貸せ!1万5千!」
「はぁっ!?」
「三上も金ないー?」
「・・・・・・佐藤?」
「はぁーい。三上の関西弁初めて聞いたわ」
「あ゛っ」

突如現れた金髪が三上を見て笑う。

 

 

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三上家末っ子はアイドルです。
京はお姉さん。

030830

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