ひらりひらりと

空から降ってきたものを貴方は捕まえられる?

そんな微かな期待と希望

俺は指の隙間に落としてしまった


ぼ く の な つ や す み   2


「タクー?」
『残念だったな』
「あれっ三上先輩!?何?実家帰ったんじゃないの?」
『帰ったよ』
「え、何ですか、じゃあタクがそっちにいるの?」
『いねーよ』
「・・・これタクの携帯からかけてますよね?」
『だって俺お前の番号消したもん』
「消しッ・・・!?ひど!! 何でタク居ないのに携帯があるんですかー」
『 お れ が 聞きてぇよっ!』
「ッ・・・大声出さないで下さいよッ」
『何?お前も知んねぇの?』
「は?」
『じゃーいい』
「ちょっ、なんなんですかっ」

どうもコトの発端はこうらしい。
実家に帰った三上先輩。
ふと思い立ってタクに電話を掛けた。まぁ、そりゃ、恋人同士なんだから俺もとやかく言わない。
でも、そうしたら、三上先輩の鞄の中で携帯が鳴った。
鳴ったのは勿論タクの携帯。市販されてるものとは言え同じのを持ってる人って言うのは案外少ないモンだ。
いやー、流石の俺も、タクが何考えてるのか分かんない。

「・・・俺タクの実家の番号知ってますけど、聞いてみましょうか?多分タクと話すら出来ないけど」
『だろうな。お前どうにかして笠井家の外に出せ、1歩でもいい』
「・・・先輩まさか」
『大丈夫だストーカーにしちゃ格好良すぎる』
「自分で言うなっ!つか何でそこまでッ」
『むかつく』
「・・・・・・いっとくけどタクと会話できる可能性なんてキャプテンが夜の街で補導されるぐらい有り得ないっスよ」
『・・・そこまで?』
「俺タクの親父さん怖いから嫌いなんスけど〜!」
『でも多分俺がかけるよりまし』
「・・・先輩すっげ嫌われてますもんね」
『お前もあんまかわんないけどな』

タクの父親は怖い。
武蔵森で一番触れてはいけないところかもしれない、中西先輩の素性以上にキャプテンの実年齢以上にだ。
何たって笠井が怖い。
1週間に1度は電話が来るし(2週間に1度は無視ってる)、2ヶ月に1度はお母さんが寄越される。
そしてその日と次の日は、タクの機嫌が最高に悪い。
電話・・・するのか・・・・・・

なんで俺三上先輩の言うこと聞いてるわけ?
こっちが悪くもないのに怒られるのは物凄い理不尽だから誰だって笠井の父親に電話をかけようなんて思わない。
ていうか、タクの父さんは俺から見たらちょっと可笑しい。
サッカーが敵なんだ。
・・・あーあ・・・囚われの笠井姫が電話に出れるわけないしなー・・・
お母さんが出てくれますように・・・!

『はい 笠井です』

・・・お父様。

「・・・竹巳君と同じくラスのの藤代です、・・・竹巳君居ますか」
『只今外出しておりますので帰りましたら掛け直させます』
「・・・そうですか、失礼します」

嘘吐け・・・夜に外出させるような家か。
正月の時なんか一歩も外に出して貰えなかったって言ってたぞ。
汗のついた携帯のディスプレイを拭ってそのまま三上先輩にメールを送る。
アドレスも消されてそうだけど多分分かるだろう、迷惑メールにされてたら別だけど。

>タクは外出中だそうです
>ふざけんな

・・・俺に言われても困るんですけど・・・ あーあ。
いいなぁタク、愛されちゃって。
多分三上先輩は東京まで出てきてるんだろう、実家に帰ったばかりなのに。
子どもを支配する笠井家と放任主義の三上家。 うーん、絶対に上手くいかない気がする。
本人同士だって絶対あってないと思うのに。
タクは寒がりで先輩が暑がり、風呂の温度も女の子の好みも(これはどうでも良いか)全然違うのに。
・・・・・・・・・
三上王子はどうやって竹巳姫を助けるのかな。

「ちょっと誠二、ごろごろしてだらしない!」
「えーだって暑いじゃーん」
「暑いのはみんな一緒!ほら布団ぐらい片付けてッ」
「うー・・・」

ああでも微かな期待に賭けてみよう。
王子が三上先輩って辺りが何ともだけど。
ねえタク、
押しつけるワケじゃないけど

タクだってそんなとこ居たくないだろ?

 

3 >


三上王子って。
カボチャパンツがさぞかし似合うことでしょう。

030830

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