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「────・・・鳴海?」
「・・・・・・渋沢か」

鳴海は表情を柔らかくするが、鎌を握る手の力は抜かない。
刃に付いた血は、設楽の衣装で拭いてきた。木製の柄には赤黒く血痕が残っているがしょうがないだろう。

「おっと、ちょと待て。それ以上近寄るな」
「鳴海俺は・・・」
「判ってるか?今は誰も信用できない。しちゃいけねーんだ」
「・・・・・・・・・判った。只ちょっと聞きたいことがある」
「何だ?」
「藤代達を知らないか?」
「・・・さぁ、見てねぇな。は、この期に及んでも団体行動する気か」

鳴海が鼻で笑った。

「お前の武器は?」
「・・・これだ」

渋沢が手に持っていた物を持ち上げる。鳴海がヒュウ、と口笛を漏らす。
前に構えて、渋沢が鞘を引き抜いた。
未だ血を吸わない日本刀が、月明かりで怪しく光る。
使わないと決めてはいても誰が敵になっているか判らない状態ではやはり不安で、鞄の中にしまいっぱなしと言うわけにはいかなかった。

「どーすっかなぁ、俺出来れば銃とかの方がいいんだよなぁ、格好つくし」
「鳴海?」
「まぁ・・・日本男児で攻めるってのもアリって事か?コレよか随分ましだしな」

鳴海が地を蹴って飛び出す。
一瞬鳴海の姿を見失った渋沢が、咄嗟に刀を振り下ろした。しかしそれには何も当たらない。
それでも横の方で何かが光ったのを見付け、渋沢は自分の前に刀を持ってきた。
鉄と鉄の咬み合う、嫌な感触で腕が粟立つが、そんなことは言ってられない。

刃と刃の交わる向こうで、鳴海が笑って居る。
渋沢が教室で見た、あの笑い。

「やめろ鳴海・・・」
「だから、甘いっての。俺はこんなトコじゃ死なねぇ」
「・・・誰か、殺したのか?」
「───設楽」
「!!」
「─────同じ学校だからって、仲良いとは限んねぇんだよ、お前等のガッコと違ってな!」

ぐっと鳴海の力に押されて渋沢が少し後ずさる。

「・・・っ・・・俺はっ・・・こんな馬鹿なことには乗らん!!」

渋沢が両手に力を込めて、鳴海を押した。
鳴海が後退するが、持ちこたえる。

「・・・じゃあ、さっさと死ね」
「っ・・・何故・・・殺した」
「あぁ?」
「設楽を・・・」
「・・・先に攻撃してきたのはあっちだ」

一瞬、鳴海の表情が緩んだ気がした。
少なくとも渋沢はそう感じた。
・・・卑怯な手だが、仕方なかった。

鳴海の力が一瞬緩んだのを見逃さず、渋沢が力一杯刀を押す。鳴海が慌てて我に返り、再び手に力を込めた。
しかしその時、集中していたふたりの耳にも草をかき分けて進んでくる足音が聞こえる。
集中力で勝ったのは、渋沢。

自分が今何処にいるのか、鳴海が知らなかったのが仇となった。
設楽を殺したことで、自分では気付かなかったものの動揺がかなりあったのだろう。

鳴海の背後は───それは、さほど酷い怪我を負うことはないような高さではあったのだけど───崖、があった。

何処かにためらいを感じながらも渋沢は踏み込んだ。
がくん、と鳴海の片足が宙を踏む。
鳴海が驚愕した表情で渋沢を一瞬見て、声を上げる間もなく暗い崖へと落ちていった。
いきなり押すのをやめられず、勢い余った渋沢は草の上に膝をつく。
荒い息を必死でなだめた。

殺したかもしれない。

確かにそんなに高くはなかったと思うが、渋沢だって落ちてみたわけでもなしに、おまけに暗い夜。
崖からは崩れ落ちる音がしただけで、鳴海の声は落ちるときに一瞬叫んだのが聞こえただけだった。
例え低いところであろうが、打ち所悪ければ死ぬことだってあるだろう。
直接的ではないし、正当防衛としても成立する。
しかし渋沢は吐き気を感じ、その場に座り込んだ。

「────今落ちたのは鳴海か」
「!!」

渋沢が反射的に振り返る。
そこに立っているのが乗った奴なら、未だ収まらない呼吸を持てあます渋沢を見ると笑って殺意を向けるだろう。
それぐらい、渋沢は動揺していた。無防備だった。
しかしそこに立っているのは不破大地(16番)。
静かに渋沢を見下ろしていたが、じきに手を伸ばして渋沢を立たせる。

「・・・不破・・・お前は」
「乗らん」

聞こうとしたことに先に答えられ、渋沢は苦笑する。

「そうか。
 ・・・失礼かもしれないが、俺はお前は乗るんじゃないかと思っていた」
「・・・以前の俺なら乗っていたかもしれん」
「・・・風祭か」

渋沢は微笑を浮かべた。
それは苦笑のようにも見える。

「見かけなかったか?」
「いや・・・俺が学校を出てから見たのは井上と・・・・・・鳴海だけだ」

渋沢は意識して崖の方を見る。が直ぐに視線を外して日本刀を睨んだ。
アレで切らなかっただけでもましかもしれない。 わずかな月明かりしかないのに草の上に投げ出されたそれは、渋沢の様子をあざ笑うかのように光っていた。

「井上は俺を見て海の方へ逃げ出した。いや・・・俺じゃなくても、とりあえず人を見たら逃げ出していたんだろうな」
「ヤツの性格なら十分あり得る。佐藤にでも出会わん限りは逃げ続けるだろう。
 ・・・余計、目立つがな」
「・・・・・・・・・」

しばらくふたりは黙り込んだ。渋沢の呼吸が静かに聞こえる。
何処かにいっていた鞘を見つけだし、刀をしまった。
虫の声や、風で木がこすれる音を渋沢はじっと聞いていた。
不破は何かに気付いたように、只渋沢を見ている。

「・・・不破、・・・・・・俺は今から、お前に頼みたいことがある」
「・・・・・・何だ」
「・・・スゴク、・・・嫌なことだ」

不破はズボンのベルトに挟んでいた支給武器を引き抜いて、渋沢に向かって構えた。
小さな銃口が、渋沢の額を正確に狙っている。
実際にその小銃をヒトに構えたのは初めてで、流石の不破も自分がいつもの状態ではないことが判った。
以上に心音が高い。
ふ、と渋沢は微かに微笑んだ。それは病人が見せるような弱々しいモノであったけれど。

「自分じゃ死ねなかったんだ」







『はーい、朝六時でーっす。みんな起きてる?』

森の中には幾つか見付けたが、見えないところにも隠してあるのだろう。
小島の、この場にそぐわない明るい声がスピーカを通して島全体に伝わった。
知らない間に、夜が明けた。
放送はよく聞こえるように外に出て、又込み上げてきた涙を小島は制服の袖で拭う。

『えーっと、死んじゃったヒトの名前を言うわねー。ってまぁみんなが知ってるヒトも一応言います。
 2番郭英士君・10番設楽兵助君・13番畑五助君・14番畑六助君』

探し人の番号が呼ばれずに終わり、三上が機械的に、地図と一緒に入っていた名簿にチェックを入れる。
初めは引きかけた線を止め、番号を斜線で消す。
流石にチームメイトの名前が挙がったときには一瞬動きが止まった。

『15番藤代誠二君・17番間宮茂君。
 ─────え?何?もう一人居るって?・・・あぁ、ちょっとーコレ字汚すぎて読めないんですけど。えーっと、何々。
 ・・・11番渋沢克朗君』

「・・・しぶさわ」

水野が三上を見た。三上の視線が一瞬中を漂う。

「・・・あいつ、自分で死んだかもな」
「え?」
「・・・は、森の1軍弱ぇな。まぁサッカー何てもう出来ねぇから関係ない、か」


サッカー。


三上の言葉に小島と水野はうつむいた。
昨日まで自分たちが追っていた全てだというのに。

『結構ペース早いんじゃない?その調子でどんどん殺し合ってね。
 はーい、それから禁止エリアを言いまーす。8時からAの3ー・・・』

「うわ、時間差かよ。・・オイ、お前等もコレぐらいは書いとけ。移動中に死んでもしらねーぞ」
「あ、うん」

三上に言われて水野は慌てて鉛筆を握り直した。
しばらく迷った後、小島も丁寧な字で記入する。

『以上、です。  それじゃあみんな、頑張ってねー』

香取の最後の文句に三上が鼻で笑った。
小島が、改めて首に巻かれた首輪に触れる。ひやりとした感触に身震いした。

「・・・あ、そう言えば三上君の武器何だったの?」

忘れようと、小島は話題を探して口を開く。
昨日のいざこざで忘れていたが、確かに未だ水野と小島は三上の支給武器を知らない。

小島の言葉に三上は困ったように笑った。
それは諦めに近く、本気で笑いたいのに笑えないと言った表情だ。

「・・・・・・外れ、じゃねぇ?」

何とも意味のとりにくい言葉を残し、三上が洞窟内に戻った。
小島と水野は顔を見合わせて、慌てて三上の後を追う。

「水野」

呼ばれた水野が三上の側へ行った。
刃の部分を軽く握り、三上が水野に柄を向けてナイフを差し出す。

「!? 三上コレ・・・」
「・・・間宮のヤツ」

夜中にでも洗ったんだろうか。
それには血の跡は見られない。

「お前が持っとけ」
「だってお前は・・・」
「アホか。お前等武器ねぇじゃん」
「・・・でも俺は、誰も・・・」
「あぁ、お前に殺意はなくても相手は持ってるかもしれねぇ。
 ──── ・・・ヒメさん守ってやれよ」
「・・・・・・・・・」

水野は返事を返せなくなってナイフの柄を握る。
思っていたよりもずしりと重かったそれは、三上が手を離したことで更に重みを増した。
それとも自分が気負いすぎて重く感じていただけかもしれない。

「・・・それともうイッコ、俺のやる」
「え?」

三上は黙って自分の鞄を差した。
・・・それは、見間違うはずのないライン。 水野が目を見張る。

「・・・おい小島サン!」
「何?」

三上が鞄から「武器」を素早く取り出して有希に向かって蹴った。
反射的に小島はそれを足で受け取る。

「・・・ふぅん、上手いンじゃん」

自分で受け止めておいて、小島は今それが何なのか判ったらしく、じっと足下のそれを凝視している。

「う・・・うそぉ・・・・・・」
「・・・は、俺等なら武器として使えるとでも言いたいのか?政府の奴等は。・・・ふざけんなよ・・・」
「何コレ・・・酷すぎ・・・」

もう涙を堪えると言うことも思いつかず、小島の目から跡から跡から涙がこぼれ出て足下のそれに落ちた。
つぅ、とラインに沿って涙が落ちる。
サッカーボールのラインを伝って、ごつごつした地面に小島の涙が吸い込まれる。

「・・・もう行く。お前等は禁止エリアにでもならない限り動かねぇほうが良いかもしれねぇ。乗ってる奴らが居る限り、確実に人は減る。
 ───俺は生き残る気はない」
「三上・・・」
「だから、・・・お前等次第だが、うまくいけば、・・・本当に運が良ければ、お前等のどっちかは『優勝』出来るかもしれねぇぞ」
「!!」

どっちか。

その場合、ふたりが離れない限り、このふたりで殺し合いをしろと言っているのだろうか。
小島が力無く首を振った。

「・・・優勝何かしたくない」
「小島・・・」
「あたしは・・・・・・死にたくないけど・・・、確かに死にたくはないけど・・・こんなゲーム、
 ───・・・ゲームじゃない、こんなの」
「・・・じゃあな」

三上が自分の鞄を持ち上げて洞窟の出口へ向かい始めた。

「あっ・・・三上ちょっと待て!」
「何だよ」

水野はポケットに入っていた探知機を三上に投げた。
三上は一瞬落とし掛けてキャッチする。

「・・・下手くそ」
「悪ィ。・・・持ってけよ」
「・・・いいのか?誰が来るかわかんねーぞ?」
「お前なぁ、幾ら島だっつっても相当広いぞ?
 ・・・お前が探してる間に、お前が優勝してもしらねぇぞ」
「・・・は、そりゃドウモ。んじゃ遠慮なく貰ってくわ」

水野は三上に笑顔を向けた。
三上が一瞬驚いて、でも笑い返す。それはいつもの、含み笑いのような笑いだ。

「絶対逢えよ」
「お前誰に言ってんの?」

小島も顔を上げて、涙でぐしゃぐしゃではあったけれど、笑って三上を見た。

「・・・あーあ、俺も小島サンに惚れときゃ良かった。すっげ美人。最高。
 一緒に行きてぇトコだけど、俺はとりあえずあいつに会わなきゃいけねぇから」
「うん。・・・絶対逢うって約束してね」
「当然」

水野達には出てくるなといい、三上は一人で洞窟を出る。

サッカーボールを置いてきたことは酷だったかもしれない。精神的に参るだろう。
だけどアレを持って移動するには少々邪魔すぎた。
精神的に掻き乱されるのは三上も同じことだった。

水野に貰った探知機の、昨日の・・・藤代達とは逆方向に、丸が一つ。

・・・あいつは確実に一人で居る。

選抜に来てなかったあいつに顔見知りは武蔵森のメンバーしか居ないはずだ。
森で残っているのは後ふたり。
自分と、笠井。

一人でも、減らす。
あいつに人殺しはさせたくない。







「・・・ナオキ?」

森の中か民家にでも隠れて居るんだろうと見当を付けていたのだが、海に面した崖の上に直樹は居た。
黒川はそれを見て、声を掛けようかどうしようか一瞬迷う。

どうも様子が可笑しい。
チームメイトの中では精神面の弱さでは上位に上がる、井上はこんなコトに巻き込まれてさぞ混乱していることだろう。
だけどその分、警戒心も人一倍強いはずだ。
こんなに無防備に姿をさらしているはずがない。

そのわけは直ぐに判った。
ヒトを見かけて森から出てきたんだろう。
背の高い草をかき分けて、時々後ろを見ながら井上が走る。

井上の後を、三上がゆっくりと歩いて出てきた。

動きにくそうに三上がブレザーを脱ぎ捨てた。
黒川の位置からは見えなかったがそれは顔をしかめながらの、痛みを堪えながらの行動。
ブレザーから出てきたカッターの袖は、左の肩の当たりから真っ赤に染まっている。
青々と繁る草とその赤との、反対色の綺麗なクリスマスカラー。
勿論そんな季節でも、そんな場面でもない。

まさか。
黒川はじっと目を凝らして井上を見る。
そして、その目に映ったのは。

血に濡れた斧を握って走る、チームメイト。

「・・・ふざけんなよ」

椎名なら、判る。
変な言い方だが、ずっと付き合ってきた。

椎名は巧みに感情を隠すようで、実はそうでもない。
下手をすれば、そこら辺のヤツよりもずっとメンタル面が弱いときだってある。
それは大抵は椎名の気分次第だが、今回は、・・・西園寺が、死んでいる。おまけに教室を出る前に香取が色々吹っ掛けた。
そう、多分。
否、間違いなく。

・・・翼は乗ってる。

だけど、まさか。
直樹が乗れるわけがない。
大方反射的にとか、その程度の事だろう。

井上は何かを必死に叫んでいる。
黒川にはその言葉の端々が聞こえるだけで、全く聞き取れない。
どっちにしろ混乱して叫んでいるだけで、意味はないのだろう。
追いつめられ・・・と言うよりかは勝手に逃げ、井上は遂に崖の端に追いやられた。

三上が、真っ直ぐ構える。

「やめ・・・」

・・・そして、聞こえた音は聞き覚えがあった。

ゲームが始まってからも聞いたし、・・・そう、多分、教室を出る前にも聞いている。
しかし黒川に他の音の聞き分けはつかなかった。

とりあえずわかるのは、それは銃声。


井上が胸から血を噴いて、ぐらりとバランスを崩して崖の向こうに消える。
叫び声もせず、只何かが潰れた音は三上には聞こえた。

顔をしかめた三上はブレザーを拾いに戻る。
それを肩に引っかけて、しばらく空を見ていた。

事態を理解するのに黒川は時間を要した。
いっまでのことを夢か何かだと思っていたように、夢から覚めたばかりのような心境だった。
はっと我に返った頃にはもう、三上が自分の方へ銃口を向けていた。

ゆっくりと三上が歩いてくる。
体は石のように硬直し、身動きは全く出来ずに、だけどそれは音も立たなかったはずだ。
何故位置が判ったのかが判らず、黒川は只混乱し、ますます動けなくなる。
それは三上が水野から貰った探知機のお陰なのだが、黒川はそれを最後まで知ることはない。

「誰だ」

三上が静かに言った。
ふたりの距離は30メートルもない。

「・・・・く・・・黒川だ」
「・・・あいつと同じガッコのヤツか。

三上は舌打ちをして銃口を降ろす。

「まさか乗ってねぇよな、」
「当たり前だ」
「・・・そこから動くな」

その場にどかっと腰を下ろし、三上はカッターの袖を引き裂いて肩口をきつく縛る。
実際は大した怪我ではないのだが、妙に出血が多い。

「・・・なんで、撃った」

攻撃されないと判って、黒川は静かに口を開く。

「あぁ?・・・は、正当防衛だろ」
「な・・・」
「生きるか死ぬか、だ。俺は今は死ねない、だから殺した。文句あるか」

ブレザーを着直し、三上は再び銃を手に取る。
黒川は手にした支給武器を握り直した。
自分も、今まで握っていたことをすっかり忘れていた。手は汗ばんでいるが拭いている余裕などない。
両手で握り、真っ直ぐ三上に構える。

「・・・ボーガンね、言い趣味してんな政府の奴等も」

自分に向かって構えられたボーガンを見て、三上は流石に数歩下がる。
三上も黒川に構えた。

「・・・何でっ・・・」
「んぁ?」
「何で・・・俺の間の前で殺すんだよ」
「・・・お前がそこにいたのがワリーんだよ」
「何で・・・みんな俺の前で死ぬんだよ」
「あ?・・・誰か死んだの見たのか?」

「・・・渋沢」

黒川は言葉を押し出す。

「・・・誰が」
「───不破」
「ふぅん・・・確かに、あいつなら躊躇わずにやってくれそうだしな。
 ・・・あいつは多分、頼んだぜ。殺してくれってな」
「!?」
「あいつはこんなのに乗れるヤツじゃねぇんだよ、かといって自分でも死ねなかったんだろうな」
「・・・・・・・・・」


「一言だけ聞いて良いか」
「・・・何だ」

三上以上に気が張っている黒川は警戒しながら先を促す。

「笠井を見なかったか?」
「・・・笠井?」

黒川は眉間にしわを寄せる。
誰だか判らないらしい。無理もない、笠井は選抜に呼ばれていなかったのだから。

・・・そう、呼ばれていなかったのに。
落ちた三上ならともかく、呼ばれなかったヤツまで呼ぶか?

三上は無理矢理笑顔を浮かべる。

「イヤ、わかんねぇならいいんだ」

三上はそのまま数歩後ずさる。

「・・・俺はこのまま行く。お前だって死にたくないだろ」
「何?」
「今俺が撃ったから銃声がしてる、誰か来るぞ」
「!」
「少なくとも鳴海は、確実に乗ってる。俺はあいつに会いたくねぇ」

言うが早いが、三上は黒川の意表をついて黒川の真横を走り抜けていく。
咄嗟に身を翻して黒川は矢を放つが、それは虚しく木の幹に刺さっただけだった。

しばらく反動に耐え、・・・それは精神的な反動で、咄嗟とは言えヒトを撃とうとしてしまったことに対して黒川はその場に立ちつくした。
無意識に木に刺さった矢を抜きに行く。
・・・背後で、気配がした。
黒川は慌てて引き抜いた矢をセットしながら振り向く。

「黒川君!」
「・・・風祭?」





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  1番井上直樹 11番渋沢克朗 死亡 【残り12名】







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